第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8
「これから求められる専門領域を極めよう!」

2024年11月3日(日) 14:10 〜 15:40 第1会場 (1階 メインホール)

座長:横田 淳子(I&H株式会社 DI室) 平野 統久(株式会社 スギ薬局 人材開発部 医療教育課 課長)

共催:日本くすりと糖尿病学会、日本腎臓病薬物療法学会

[SY8-2] 糖尿病地域医療のゲートキーパーは薬局薬剤師
~日本くすりと糖尿病学会で糖尿病エキスパートを目指そう!~

佐竹 正子1, 2 (1.星薬科大学 薬動学研究室 客員教授、日本くすりと糖尿病学会 副理事長, 2.日本くすりと糖尿病学会 副理事長)

photo
 日本くすりと糖尿病学会は2012年1月に、病院ならびに薬局薬剤師、基礎研究者の連携を密にして糖尿病領域での専門性を高め、糖尿病薬物療法の発展、延いては社会に貢献するために設立された。糖尿病療養支援の「実践」「教育」「研究」を三本柱として会を運営している。2019年には、薬剤師認定制度認証機構(CPC)より特定領域認定制度(P認定)のプロバイダー認証を承認(P06:糖尿病薬物療法認定薬剤師)されている。本会の認定制度の特徴は、CPC認定である「糖尿病薬物療法に関する自己研鑽を積んだ薬剤師」である認定薬剤師取得の前に、「糖尿病薬物療法に関する十分な知識・技能を有する薬剤師」として履修薬剤師の認定がある。それぞれの認定取得には、糖尿病薬の知識だけでなく技能実技研修もあり、インスリンデバイスや血糖自己測定の手技取得も可能である。
 本会の活動は、学術集会開催、学会誌発行、委員会事業が中心であるが、この中に患者に密着した薬局薬剤師が活動できる「薬局部会」がある。薬局部会では2022年10月にシックデイカードを作成した。糖尿病をもつ人が急性期疾患で食事量減少時の糖尿病薬調節量を記載してお薬手帳に組み込み、患者自身で服用量確認ができるカードである。本年1月の能登半島地震ではネットワーク委員が現地で活躍されたが、その際にシックデイカードが活用され、病気以外の災害時にも応用可能として5月発刊の「災害時糖尿病診療マニュアル2024」にもカードは掲載された。
 糖尿病をもつ人への適切な薬物療法支援ができるのは、健康サポートなど地域に密着した薬局薬剤師が適切であり、そのために2020年に調剤後薬剤管理指導加算が新設され、2年で点数が2倍となり、2024年には調剤後薬剤管理指導料60点として評価されている。他職種では得られない情報を、多職種と連携して、糖尿病をもつ人へ薬物療法適正使用を支援するゲートキーパーとなる薬局薬剤師が活躍できるように、本会は今後も様々な取り組みを計画していきたい。