[2P-38] Studies on the interaction between αSynuclein and Fatty Acid Binding Protein, FABP3 in eukaryotic cells
αシヌクレイン(αSyn)は細胞内で凝集体を形成することでパーキンソン病を発症する原因蛋白質の一つである。我々はこれまでに,Thioflavin-T蛍光色素を用いたin vitroにおけるαSynのアミロイド線維形成に対して,脂肪酸結合蛋白質,FABP3がαSynの線維形成を抑制することを明らかにした。また,ANS蛍光測定と水晶振動子マイクロバランス法(QCM)を用いた実験により,αSynはFABP3と1:1の複合体を形成し,その相互作用にαSynのC末端が大きく関与していることを明らかにした。しかし,FABP3の細胞内におけるαSynとの相互作用や,αSynの凝集形成に対する影響など,その詳細については未解明な点が多い。そこで本研究では,細胞内でのαSynとFABP3の発現および挙動を可視化するシステムを構築し,生細胞内におけるαSynとFABP3の相互作用を解明することにした。マウス神経芽細胞腫, Neuro2a細胞へGFP-αSynとFABP3-mCherry発現遺伝子を導入し,αSynとFABP3の発現とそれらの相互作用を融合しているGFPとmCherryの蛍光で可視化できるシステムを構築した。そしてこのシステムを用いたGFPとmCherry間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)解析により,細胞内においてもαSynとFABP3は相互作用をしていることを明らかにした。また,αSynのC末端欠損遺伝子の導入やαSynのC末端に相当するペプチドを添加したところ,細胞内においてもαSynのC末端領域がFABP3との相互作用に働いていることが判明した。