第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-71*] 多価レクチンナノブロックWA20-ACG複合体の開発

入間川 伸1,3, 舘野 浩章2, 新井 亮一1,3 (1.信州大・繊維・応用生物, 2.産総研・細胞分子工学, 3.信州大・バイオメディカル研・生体分子イノベ)

レクチンは細胞表面上に呈示される糖鎖を特異的に認識する蛋白質群であり、医薬産業分野等への応用が期待されている。しかしながら、レクチンと糖鎖の親和性は抗体等と比較して低いことが多く、応用化に向けた課題となっている。レクチンは分子全体の結合力を高めるために、ドメイン重複や多量体化によって糖鎖結合部位を複数持つ多価性を獲得する例が多い。
近年、私達の研究室では、2種類の多量体蛋白質を融合し、自己組織化によって多様な会合数と構造を持つ複合体を構築する蛋白質ナノブロック研究に取り組んでいる。例えば、2量体を形成する新規人工蛋白質WA20と3量体を形成するT4ファージ由来のfoldonを融合したWA20-foldonは6の倍数の様々な会合数の複合体を形成する(Kobayashi et al., JACS, 2015)。
そこで、本研究ではレクチンを用いた蛋白質ナノブロックを構築し、野生型よりも多価のレクチン複合体を形成することで結合力の向上を目的とした。具体的には、2量体人工蛋白質WA20とヤナギマツタケ由来2量体レクチンACGを融合したWA20-ACGレクチンナノブロックを構築した。大腸菌で発現したWA20-ACGを精製し、会合状態を解析した結果、2の倍数量体の様々な複合体形成を確認した。複合体を分子量ごとに分画し、糖鎖結合測定を行ったところ、会合数の大きい複合体ほど結合力の向上がみられた。これらの結果はナノブロック化による多価性の増加がレクチンの結合力を向上させる有用な戦略であることを示唆する。