[2P-72*] Construction of Top7 variants aiming for easy structure determination
Top7はゼロから人工的に設計された球状蛋白質である。天然のアミノ酸配列と全く相同性がないため、蛋白質の純粋な分子特性を理解するためのモデル蛋白質として魅力的である。しかし, 我々のグループにおいてTop7の結晶化, X線回析実験を試行したが, 分解能が低く構造解析に至らなかった。モデル蛋白質として様々な研究に応用するためには、容易に結晶化して分子構造を決定できる必要がある。そこで本研究では, 容易に結晶化させるための蛋白質改変技術として, 広く用いられている“表面残基エントロピー減少法”をTop7に対して行なった。これはリシンやグルタミン酸などのコンフォメーションの自由度が高い残基をより小さなセリンやアラニンに置換することで結晶化を促す方法である。Top7表面残基変異体として, Top7-SuMu1 (3箇所変異)とTop7-SuMu2 (5箇所変異), Top7-SuMu3 (7箇所変異)を作製し, 結晶化に成功した。X線結晶回折測定を行い, Top7-SuMu1とTop7-SuMu2ではそれぞれ1.65 Åと2.5 Åの分解能が得られ, Top7の報告されている2.5 Åより改善が見られたが, これらは野生型と同様の結晶パッキングであり, 精密化を進めてもR値が高いままであった(~30%以上)。そこで, 結晶パッキングにおける分子間界面に存在するイソロイシンをより大きな側鎖を持つアルギニンに変更して, 野生型の結晶パッキング配置をとれないようにした変異体, Top7-SuMu2-I68Rを作製し, 結晶化に成功した。本研究より得られた結晶構造から, 分解能改善の分子基盤を議論する。