[3P-01] Crystal structure analysis of α-amylase I and II from Eisenia fetida
シマミミズ由来の糖加水分解酵素は、20°C以下の低温でも比較的高い活性を保持することがendo-1,4-β-glucanase(Ef-EG2)、endo-1,4-β-mannanase(Ef-Man)などの生化学的研究から明らかとなっている。そのためシマミミズ由来の酵素は、植物バイオマスの糖化などの工業的利用において、低温処理によるエネルギーコストの低減が見込めるなど利用価値が高いと考えられる。我々のグループは、これまでにシマミミズ由来Ef-EG2およびEf-ManのX線結晶構造解析を報告している。低温活性を持たない酵素との立体構造比較の結果、シマミミズ由来の酵素ではタンパク質表面に酸性アミノ酸残基が多く露出していることが明らかとなった。シマミミズにはアミノ酸配列相同性が89%の2種類のα-amylase (Ef-Amy I, Ef-Amy II)が存在するが、基質特異性や低温での比活性に違いが見られる。本研究では、Ef-Amy IとIIにおける反応の分子機構を明らかにするため、両者のX線結晶構造解析を行った。Ef-Amy Iの立体構造解析の結果、Ef-EG2やEf-Manと同様に低温耐性酵素に見られる性質を保持することが明らかになった(Hirano et al., 2020)。またEf-Amy IとIIの比較を行ったところ、全体構造の類似性は高いものの、活性部位周辺のループ構造などに差が見られた。