[3P-02] Molecular dynamics study of hydration dynamics around Helix peptides
生体分子の表面の水和水は生体分子の様々な機能や構造に重要な役割を果たしている。しかし、生体分子の構造と水和水のダイナミクスの関係はまだ十分に理解されておらず、例えば先行研究ではHelix構造の保存度が高いほどその周囲の水の運動性が小さいことがわかっているが、溶質の構造変化と水和水のダイナミクスの関係性はまだ十分解明されていない。本研究ではHelix構造を安定させるアラニンベースのモデルペプチドを用いて溶質の構造変化の解析とその表面の水和水の解析を行った。さらにペプチド配列の三か所を様々なアミノ酸によって置換し、変異体ごとに構造変化を調べた。溶質の解析では、シミュレーション時間が長くなるにつれ、モデルペプチドの変異体によってHelix構造の保存度に大きく差がでることがわかった。さらにHelix構造が壊れていた変異体ほど置換残基の初期構造からのずれが大きい傾向があることがわかった。先行研究同様、今回の水和水の解析でも溶質表面に近づくほど、水分子の運動性は小さくなった。そして溶質のHelix構造が壊れるほど溶媒と露出する面積が増え、その表面積の大きさと水分子の運動性に相関を示すことがわかった。本研究では5 nsのシミュレーションを行ったが、Helix構造の保存度は減少し続け、平衡状態に達していないので、よりシミュレーション時間を延ばして変異体ごとの構造変化と水和ダイナミクスの関係をより詳しく見ることを目指している。