[3P-33] A novel computational method to assess mechanical stability of proteins with high accuracy
蛋白質力学的安定性は、生体機能を制御したり、新バイオ素材を設計したりする上で重要な特性である。原子間力顕微鏡(AFM)は、蛋白質の力学的安定性を解析するための強力な実験ツールである。しかし、20年以上経過した現在でも、AFMを用いた蛋白質力学的安定性に関するデータはいまだに少ない。その理由として、タンデム蛋白質を調整する必要があること、測定可能な力範囲が引っ張り速度に依存することなど様々な問題がある。最近ではMDシミュレーションを用いて蛋白質を引くアプローチがAFMの問題点を克服することが期待される。これまでAFM、MD研究では、蛋白質を一定の速度で引っ張って力学的安定性を調べている。だが、AFMとMDとの相関が低いことがよく知られており、その原因は実験と計算の時間スケールが、かなり異なるだと考えられている。そこで、我々は一定の力で引くMDを用い、力学的安定性を推定する新規計算手法を開発した。まず、蛋白質が解離する際の最大力が実験で測定されている14種類の蛋白質に対して、本手法を適用したところ、実験値(18~227pN)と計算値との間に強い相関が確認された(R=0.94)。次に、3種類の蛋白質(Protein G, L, Titin)の変異体群に対する評価を行い、実験値と計算値との相関係数は、同様に強い相関が観測された。以上より、本手法は蛋白質力学的安定性の評価において非常に高い精度を有すことが示唆された。