第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-51] 紅色細菌由来の時計タンパク質 KaiC ホモログの生化学的解析

尾上 靖宏, 山田 貴淳, 寺内 一姫 (立命館・生命科学)

シアノバクテリアの生物時計はKaiA、KaiB、KaiCという3つのタンパク質から構成される。KaiCは自己リン酸化、自己脱リン酸化活性を持ち、KaiA、KaiBと混ぜるとリン酸化割合が約24時間の周期をもつリズムを示す。さらにKaiCは温度補償されたATPase活性を持ち、概日リズムの周期決定に重要であるとされている。近年、紅色細菌Rhodopseudomonas palustris由来のKaiCホモログ(RpKaiC)は、ATPase活性が温度依存的であることが報告された。このRpKaiCを詳細に解析すれば、シアノバクテリアKaiCの温度補償性について知見が深まることが期待される。そこで、まず始めにRpKaiCの生化学的機能について網羅的に解析した。
Strepタグ付きRpKaiCを大腸菌に発現させ精製を行なった。ゲルろ過クロマトグラフィーの結果、ピークが2つ現れた。この2つのピークはSDS-PAGEで同じ移動度の単一バンドとなった。さらにこれらのピークのどちらもATPase活性を示した。以上よりRpKaiCは活性を保持した2種類の会合体を形成することが示唆された。次にRpKaiCのリン酸化能について調べたところ、RpKaiCはリン酸化されない可能性が高いことが示された。最後に、RpKaiCのATPase活性を25℃、30℃、35℃で測定した。RpKaiCのATPase活性はシアノバクテリアKaiCよりもはるかに高く、30℃においては約400倍であった。さらに、ATPase活性が温度依存的であることが確認された。本研究により、RpKaiCはシアノバクテリアKaiCとその基本的な会合状態と酵素活性が大きく異なることが示された。