第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-60] 多糖モノオキシゲナーゼCBP21の変性反応 -銅イオンの効果-

中島 優一, 鈴木 一史, 杉本 華幸 (新潟大院・自然科学)

 Serratia marcescens由来の多糖モノオキシゲナーゼ(CBP21)は,結晶性キチンのグリコシド結合を酸化分解する酵素である。CBP21は170アミノ酸残基からなる小型球状タンパク質で,補因子として銅イオンが触媒部位に配位している。本研究では,補因子(Cu2+)の結合がCBP21の変性反応におよぼす影響について,平衡論的解析および速度論的解析により明らかにすることを試みた。 アポ型およびホロ型CBP21の熱変性反応を断熱型示差走査熱量測定で調べたところ,いずれも変性は可逆で,ホロ型はアポ型より9℃熱安定性が高かった。アポ型,ホロ型ともに変性機構は二状態転移であった。また,ホロ型の場合,変性してもCu2+が結合したままであることが明らかになった。変性に伴うTrp蛍光の増大を指標として塩酸グアニジンよる変性剤変性を調べたところ,協同性の指標であるmは,アポ型の方が2倍程大きかった。アポ型とホロ型で天然状態の立体構造に差はないことから,両者の変性状態構造に差異があることが考えられた。 次に,Trp蛍光を指標としてアンフォールディングとリフォールディングの経時変化を調べた。アポ型とホロ型ともに,アンフォールディングでは単一の指数関数的速度過程が,リフォールディングでは少なくとも2つの指数関数項から成る速度過程が観測された。ホロ型では,アポ型よりもアンフォールディング速度は遅いが,リフォールディング速度は速かった。Cu2+結合は両過程に影響をおよぼすことがわかった。