第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS11] 生体分子の人工設計で切り開く生命科学研究

2021年6月18日(金) 17:30 〜 20:00 チャンネル1

オーガナイザー:真壁 幸樹(山形大学)、田中 俊一(京都府立大学)

18:20 〜 18:40

[WS11-04] 多糖の柔軟性を活用した機能性ナノ材料の開発

沼田 宗典 (京都府立大院・生命環境)

β-1,3-グルカンは右巻き3重らせん構造を持つ天然多糖であり、核酸やタンパク質に匹敵する構造規則性を有する天然の超分子構造体である。この3重らせん構造はDMSOなどの極性有機溶媒中では解離(Denature)し、3本のランダムコイル鎖となるが、溶媒を水に置換すると3重らせん構造を自己組織的に再構築(Renature)する事が知られている。さらに、3重らせん構造の表面は親水性であるが、らせん構造内部には疎水性の1次元ドメインが形成できることが示唆されている。講演者はβ-1,3-グルカンが(1)ランダムコイルから剛直な3重らせんまでドラスティクな構造変化を起こし得る自己組織性の高分子であること、(2)水中で巨大な1次元両親媒性構造を形成していること、(3)均一で明瞭な構造を持ち、有機合成化学的なアプローチによる部位特異的な機能変換が可能であることに着目した。本講演ではこうした天然および合成高分子の中でも極めてユニークな特性を持つ多糖の機能に着目して、機能性物質を創製するための独自のアプローチを紹介する。