第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS11] 生体分子の人工設計で切り開く生命科学研究

2021年6月18日(金) 17:30 〜 20:00 チャンネル1

オーガナイザー:真壁 幸樹(山形大学)、田中 俊一(京都府立大学)

18:40 〜 19:00

[WS11-05] 蛋白質ナノブロックによる機能性人工蛋白質複合体の創製に向けて

新井 亮一1,2 (1.信州大・バイオメディカル研・生体分子イノベ, 2.信州大・繊維・応用生物)

近年、生体分子を人工的に改変・設計し、生命科学や医療の場で戦略的に利用しようとする研究が進展をみせており、人工蛋白質や複合体のデザインも、今後ますます重要になってくると考えられる。これまでに、新規人工蛋白質WA20の特徴的2量体構造を活かした蛋白質ナノブロックを設計開発し、多様な超分子ナノ構造複合体を創出してきた。例えば、WA20とT4ファージの3量体foldonドメインとを融合したWA20-foldonを構築し、樽型6量体、正四面体型12量体等の6の倍数量体のナノ構造超分子複合体を創製した(JACS, 2015)。また、WA20を2個タンデム(直列)に融合したタンパク質ナノブロックも開発し、環鎖状構造や直鎖状構造の形成にも成功してきた(ACS Synth Biol, 2018)。しかしながら、有用な機能を持つ蛋白質ナノブロックの創出は以前からの大きな課題であった。そこで、最近、レクチンを用いたナノブロックの開発に取り組み、野生型よりも多価のレクチン複合体を創出することで結合力の向上を目指した。例えば、2量体人工蛋白質WA20とヤナギマツタケ由来2量体レクチンACGを融合したレクチンナノブロック WA20-ACGを開発した。大腸菌で発現したWA20-ACGを精製し、会合状態を解析した結果、2の倍数量体の様々な複合体の形成を確認し、会合数の大きい複合体ほど結合力が向上する傾向がみられた。また、Sortase等のタグ結合システムを用いて、蛋白質ナノブロック複合体形成後に機能ドメインを付加する試みなども紹介したい。