第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS8] 発動分子科学:生体分子モーターから、人工分子機械まで

2021年6月18日(金) 09:45 〜 12:15 チャンネル1

オーガナイザー:池口 満徳(横浜市立大学)、村田 武士(千葉大学)

共催:新学術領域 発動分子科学

09:45 〜 10:19

[WS8-01] 膜タンパク質を模倣した人工分子の設計その機能

金原 数 (東京工業大学)

細胞膜中に存在する膜タンパク質の多くは,膜に与えられた光、熱、化学物質、力などの多種多様な刺激を感受し、これらに対して適切な応答を示す刺激応答性を有している。このため、センシング材料という観点から興味深い。さらに膜タンパク質には、膜を介した物質のやりとりを通じてエネルギー変換を行っているものが数多く知られており、発動分子として魅力的な研究対象である。我々の研究グループでは、このような膜タンパク質と類似の機能を発現する人工分子の設計に取り組んできた。特に、刺激応答性の膜タンパク質の多くにみられる多回膜貫通構造と呼ばれる共通の構造モチーフに着目し、これを模倣した分子骨格を持つ分子として、オリゴエチレングリコールを主骨格とする親水的ユニットと共役芳香環を主骨格とする疎水的ユニットを交互に連結した交互両親媒性マルチブロックオリゴマーを開発してきた。これらの分子は、二分子膜に導入することによりイオンチャネルを形成するとともに、適切な官能基を導入することにより、力学的刺激、リガンド、電位などへの応答性を付与することができる。また、二分子膜の外部から導入することができるため、細胞膜への導入も容易である。本講演では、このような膜タンパク質の機能を模倣した人工分子の設計について紹介する。