The 21st Annual Meeting of the Protein Science Society of Japan

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Workshop

[WS9] Synergistic development of protein science and antibody engineering

Fri. Jun 18, 2021 9:45 AM - 12:15 PM Channel 2

Organizers: Terukazu Nogi (Yokohama City Univ.), Tomoya Hino (Tottori Univ.)

11:51 AM - 12:15 PM

[WS9-06] Rapid development of antibody-like proteins against SARS-CoV-2

Hiroshi Murakami1,4, Taishi Kondo1, Masayasu Iwatani2,3, Kazhiro Matsuoka2, Tomoshige Fujino1, Shun Umemoto1, Yoshiyuki Yokomaku2, Gosuke Hayashi1 (1.Grad. Sch. of Eng., Nagoya Univ., 2.CRC, Natl. Hosp. Org., Nagoya Med. Ctr., 3.Grad. Sch. of Med., Nagoya Univ., 4.Inst. of Nano-Life-Systems, Nagoya Univ.)

本発表では、人工抗体を迅速に選択するin vitro選択系(改良TRAP提示法)を用いて、きわめて迅速にSARS-CoV-2に対する人工抗体の選択に成功したことを報告する1)。我々は、SARS-CoV-2に対する人工抗体を取得するため、スパイクタンパク質のS1ドメインを標的として改良TRAP提示法による選択を行い、わずか4日で結合抗体の配列を得ることに成功した。9種類の抗体を大腸菌で発現し、その結合活性を測定した結果、そのほとんどがKD = 0.42-3.6 nM と強い結合力をもつことが分かった。さらに、これら人工抗体は標的の結合部位で3つに分類することことができ、このうち2種類の人工抗体は、SARS-CoVのS1ドメインには結合せずSARS-CoV-2のS1ドメインにのみ結合し、特異性が高いことが分かった。これら人工抗体を磁気ビーズに固定化して、培養細胞から調製したSARS-CoV-2を結合させたところ、30-70%の効率でSARS-CoV-2を回収でき、さらに人工抗体#4を用いることで実際の患者の鼻腔拭い液からSARS-CoV-2をビーズ上に濃縮することができた。また、人工抗体#6は、S1ドメインと、ヒトの受容体であるアンジオテンシン変換酵素2の相互作用を阻害し、IC50 = 0.5 nMと強い中和活性を示した。改良TRAP提示法の応用範囲は広く、タンパク質標的さえ手に入れば、ウイルスだけでなく様々な感染症にほぼ無制限に適用できると考えられ、将来発生する新たな感染症に迅速に対応するための強力な基盤技術となると期待される。1. Science Advances, 2020, 6(42), eabd3916.