SCIENCE CASTLE2018

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九州大会 » 口頭発表

[SS103] 口頭発表 O-1〜O-6

Sun. Dec 16, 2018 10:05 AM - 11:35 AM 口頭発表会場 (2F ホール)

[O-3] 南日本における港のアリの地域間比較

柿元絹生, 浅井嘉乃, 日笠山円来, 荒場麻瑚 (池田学園池田高等学校 SSH課題研究生物班Team ANT)

Keywords:港、外来アリ、ハニ-ベイト、優占種

<概要>
南日本の6地域(九州北部10港,九州南部9港,大隅諸島5港,トカラ列島7港,奄美群島7港,琉球諸島17港)の55の港でアリ相の調査を実施し,これまでに4亜科25属63種のアリを採集した。宮之浦港(屋久島)で最も多くのアリ(29種)が採集された。また,63種のうち22種(34.9%)が外来アリであった。注目すべきは,鹿児島県本土の枕崎港から熱帯原産の外来アリのキイロハダカアリが日本本土で初確認されたことである。クロヒメアリは,調査を行った55港のうち53港(96.4%)でみられ,最も港への出現頻度が高かった。また,クロヒメアリは全ハニ-ベイト(1650個)への出現頻度で推定した優占種の中で最優占種で,優占種順位7位までのうち5種が外来アリであった。南日本6地域における外来アリの平均の割合は,明らかに南方ほど高くなる傾向(九州北部11.1%→琉球諸島78.1%)がみられた。
<考察・展望>
南日本における6地域の外来アリの平均の割合は,南方ほど高くなる傾向(九州北部11.1%→琉球諸島78.1%)がみられた。このことは,港における外来アリの割合の高低が,港への貨物船の入港数ではなく熱帯原産の外来アリの生態的特性に起因していることを示唆している。野村・シンプソン指数によって各港間の種構成の類似度を求めると,奄美群島と琉球諸島間が0.85と最も高く,一方,九州北部と琉球諸島間が0.37と最も低かった。港とその他の環境での外来アリの割合は,港や公園など開けた環境で高く,照葉樹林内で低かった。これは熱帯原産の外来アリの多くが開けた環境を好んで生息しているという生態的特性を示唆している。