[O-2] 紀南地方におけるオカヤドカリ類の生態研究
Keywords:オカヤドカリ、串本、黒潮
<概要>
紀南地方に生息するオカヤドカリ類は,天然記念物であるものの保護があまりされていない.我々はこれは,オカヤドカリの紀南地域での生態があまり詳しくなっていないためであると考え,1年にわたるフィールド調査を行った.その結果,オカヤドカリ類が紀南地方で越冬していること,潮岬を境にして西側に主に分布することが分かった.この分布状況は,オカヤドカリの生態への黒潮の強い影響を示唆している.
紀南地方に生息するオカヤドカリ類は,天然記念物であるものの保護があまりされていない.我々はこれは,オカヤドカリの紀南地域での生態があまり詳しくなっていないためであると考え,1年にわたるフィールド調査を行った.その結果,オカヤドカリ類が紀南地方で越冬していること,潮岬を境にして西側に主に分布することが分かった.この分布状況は,オカヤドカリの生態への黒潮の強い影響を示唆している.
<考察・展望>
フィールド調査の結果からオカヤドカリは,暖かい季節の方が活発になると考えられる.気温が20℃以上になると捕獲数が増えたためである.紀南地域の夏季は快適に過ごせていたはずだ.一方,気温が15度を下回った11月~3月までの間も死滅せず,岩の隙間などで休眠していたと推測される.また,潮岬を挟んで西側にしか生息が確認されなかったことは,オカヤドカリ類の生息と,潮岬西側に接岸する黒潮の流れ及び潮岬東西で違う水温との強い関係性を示唆している.今後の研究としては,フィールド調査を継続し,紀南地方で繁殖をしているのかを研究するのに加えて,調査とは別に捕獲したオカヤドカリ類を高温,低温の二つの水槽で飼育する室内実験も行い,オカヤドカリ類の採餌量から活動限界気温を詳しく調べる計画である.現在は安価に自作できる恒温・恒湿度水槽の開発をしているところである.
フィールド調査の結果からオカヤドカリは,暖かい季節の方が活発になると考えられる.気温が20℃以上になると捕獲数が増えたためである.紀南地域の夏季は快適に過ごせていたはずだ.一方,気温が15度を下回った11月~3月までの間も死滅せず,岩の隙間などで休眠していたと推測される.また,潮岬を挟んで西側にしか生息が確認されなかったことは,オカヤドカリ類の生息と,潮岬西側に接岸する黒潮の流れ及び潮岬東西で違う水温との強い関係性を示唆している.今後の研究としては,フィールド調査を継続し,紀南地方で繁殖をしているのかを研究するのに加えて,調査とは別に捕獲したオカヤドカリ類を高温,低温の二つの水槽で飼育する室内実験も行い,オカヤドカリ類の採餌量から活動限界気温を詳しく調べる計画である.現在は安価に自作できる恒温・恒湿度水槽の開発をしているところである.