オーガナイズドセッション
実応用から基礎まで画像センシングの新しい活用事例&技術革新を俯瞰します.それぞれのオーガナイズドセッションのトピックは,同じ日に開催されるチュートリアル講演とリンクしています.より広く,深く学べる SSII2020 オーガナイズドセッションにご注目ください.
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OS1 6/10 (水) 11:10~12:40
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OS2 6/11 (木) 11:00〜12:30
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OS3 6/12 (金) 11:00~12:30
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- 講演スライドの閲覧・ダウンロード(6/10公開)
ロボット行動計画につながる新研究分野

オーガナイザー(兼 講師):
山口 明彦 氏(東北大学)
概要:物体操作を伴うロボットにおいて近年、視触覚というセンシング技術が確立されつつある。 カメラや近接覚センサをベースとしたセンシング技術で、光学原理・アルゴリズムともに、 コンピュータビジョンとの相性がよく、かつ、ロボットの物体操作に新たなアプリケーション を示しつつある。本 OS では原理・近年の研究トレンド・アプリケーションなどの面から、 多角的に本技術を紹介することで、画像認識分野の技術者・ユーザにその魅力を紹介する。
講演

視覚に基づく触覚センサとロボットマニピュレーション
登壇者:山口 明彦 氏(東北大学)
概要:ロボットによる物体操作において触覚は重要な役割を果たすと考えられている一方、触覚センサはその歴史の古さに反して十分に普及しているとは言えない。触覚センサの実現方法にはいくつかの種類があるが、視覚(カメラ)を利用した触覚センサは、近年のカメラの発展に伴って小型化・電子回路の安定化が進み、ロボットマニピュレーションへの応用も広がっている。また、力分布だけでなく、視覚ならではの付加機能(モダリティの追加)も視触覚センサの魅力である。本講演では視覚に基づく触覚センサおよびそのロボットマニピュレーションへの応用研究を俯瞰し、講演者が開発を進めている FingerVision を紹介する。

カメラを用いた触覚画像センサ:原理と構造
登壇者:下ノ村 和弘 氏(立命館大学)
概要:カメラを用いることで触覚情報を「画像」として取得できる触覚画像センサは、ロボットハンドで把持した対象物の形状やハンド内での位置・姿勢計測など、高い空間分解能を活かした触覚センシングを可能にする。画像センシング技術を基盤としたこのようなセンサについて、主にその原理と構造について解説する。センサ面への物理的な接触を光学的な情報に変換する方法、光学系や撮像素子などの構成要素、およびセンサ形状のバリエーションなどを国内外の研究事例に基づいて概観する。

近接覚センサを含むデプスセンサの開発状況とロボット応用
登壇者:小山 佳祐 氏(大阪大学)
概要:器用かつ確実なロボットマニピュレーションのためには、周囲環境の3次元情報を正確に取得することが重要である。この際にデプスセンサの点群情報は非常に有用であり、もし今後、ロボット表面に多数搭載が可能な高速・高精度・小型デバイスが登場すれば、革命的な価値を持ちうると考えている。本講演ではカメラのほかに近接覚センサもデプスセンシングの一技術と考えてデバイスの開発状況を俯瞰し、今後の展開について議論する。

オーガナイザー:
井上 中順 氏(東京工業大学)
概要:深層学習技術は、国内外の産業界で幅広く活用されており、近年では限られた環境で、少量のデータから高精度なニューラルネットワークを学習する手法が提案されている。本セッションでは、講師の先生方をお招きし、弱教師付き学習、半教師付き学習、ドメイン適応などに関する最先端技術を、応用と理論の両面から解説頂く。総合討論では、学術と産業の橋渡しを中心的なテーマとして、今後の展望について議論を行う。
講演

ドメイン適応の原理と応用
登壇者:牛久 祥孝 氏(オムロンサイニックエックス/Ridge-i)
概要:ドメイン適応は転移学習の一種で、学習に用いるソースドメインと実運用したいターゲットドメインの間にかい離がある際に、ソースドメインで学習したモデルをターゲットドメインのために転移する機械学習手法である。本講演では、特にターゲットドメインのデータに教師情報が無い教師なしドメイン適応を中心として、その原理や物体検出・領域分割と言った応用事例について紹介する。

教師あり事前学習を凌駕する「弱」教師あり事前学習
登壇者:片岡 裕雄 氏(産業技術総合研究所)
概要:高品質な教師ラベルを含む大規模画像データセットを学習に用いた場合は成功がほぼ確約されていると言っても差し支えないが、ラベル付けのコストは計り知れない。本発表では、SNS からの画像データ収集や弱教師によるラベル付けを含め、最小限の手間で大規模データセットを構築する方法を紹介する。800万超の人物ラベルを含む大規模データセットを人物検出のための事前学習に用いた場合、ベースラインである教師ありの事前学習手法を凌駕する検出率を実現した。

深層学習における半教師あり学習の最新動向
登壇者:鈴木 哲平 氏(デンソーアイティーラボラトリ)
概要:多量のデータが取得できる中、コスト等の理由により一部のデータしか正解ラベルが得られない状況において、どのようにモデルの過学習を抑制するかは重要な課題として長く取り組まれている。このような課題は半教師あり学習と呼ばれ、Web 業界や自動車業界等で注目を集めている。本講演では、近年その簡便さと有効性から半教師あり学習で広く使われている Consistency Regularization を中心に解説し、実問題への応用における課題と今後の発展について議論する。

オーガナイザー:
斎藤 英雄 氏(慶應義塾大学)
概要:環境や物体の3D情報を得る技術は画像センシングにおいて古くから重要なテーマであり、近年は深層学習の利用により新たな展開を迎えている。本 OS ではまず、九州大学の川崎洋氏が従来の3Dセンシングの限界を打ち破る最先端技術について解説する。次に、3Dセンシングにより得られる3次元点群データを多数収集した際の技術について、富士通研究所の青木康洋氏が、その基盤となるレジストレーション技術と深層学習利用の最先端事例について紹介する。さらに、3D点群の収集により得られた環境3Dマップを利用した画像による自己位置推定技術の最先端を東工大の田平創氏が紹介する。
講演

Extreme 3D センシング
登壇者:川崎 洋 氏(九州大学)
概要:スマートフォンにおける顔の3次元形状の取得による顔認証技術や、自動運転における LiDAR センサによる周辺環境の把握など、3Dセンシング技術は広く一般に利用され効果が認められている。さらに、得られた3次元情報を用いた解析や検査、可視化や AR/VR 利用など幅広い分野での応用や研究開発が実施されている。本講演では、そのような3Dセンシング技術の現状について概観し、その限界や今後の新たな方向性や展望について、講演者の取り組みを中心に紹介・解説する。

点群レジストレーションと深層学習
登壇者:青木 康洋 氏(富士通研究所)
概要:LiDAR など3Dセンシングにより、3次元対象を点の集合(点群)として取得できる。点群は、物体の3次元形状の認識や3次元空間内での SLAM など様々に応用される。これらの応用には、点群同士を張り合わせたり、2時刻間での移動量を推定したりといった、点群の位置合わせ、レジストレーションが基礎にある。本講演では、レジストレーションの古典的な手法から、最新の深層学習による手法まで俯瞰することで、点群処理への深層学習によるアプローチを紹介する。

3Dマップを活用した Visual Localization
登壇者:田平 創 氏(東京工業大学)
概要:3Dセンシング技術の発展により、大規模で高精細な3Dモデルが利用可能となっており、それらを活用するアプリケーション開発や古典的技術の再構成が注目を集めている。特に、画像を用いて撮影者の6自由度姿勢を推定する Visual Localization は、対象環境の既知情報 (マップ) に依るところが大きく、LiDAR 等を利用した3Dセンシングから大きな恩恵を受ける分野である。本講演では、3Dセンシング技術の活用例として3Dマップを利用した Visual Localization を取り上げ、古典的な手順に3Dモデルを導入する手法や3Dマップを活用した深層学習的なアプローチを紹介する。