woncaaprjpca2019/The 10th Annual Conference of the Japan Primary Care Association

Sessions

The 10th Annual Conference of Japan Primary Care Association » シンポジウム

シンポジウム

[S1] 小児期発症の慢性疾患を持つ患者への成人移行支援(トランジション)におけるプライマリ・ケア医の役割

Fri. May 17, 2019 1:30 PM - 3:00 PM Room 12 (5F Room 501)

座長:北西 史直 (トータルファミリーケア北西医院/富士地域ケア総合診療センター)

【開催の目的】 小児期発症もしくは先天性疾患を持った小児患者が成人していく中で、課題となっている移行(期)医療(トランジション)について参加者で共有するとともに、連携体制の中でプライマリ・ケア医がどのような役割を担うことができるのか、その可能性と未来について議論する。【概要】 小児期発症の疾患を抱えたまま成人していく患者が、昨今の医療の進歩により増加している。単に小児科から成人診療科に紹介すれば済むという問題ではなく、トランジション(移行(期)医療)において、患者を中心として保護者も含めた生物心理社会的な移行課題を、包括的にとらえてサポートする必要性がある。そして成人になってからの継続したマネジメントも患者ごとにマネジメントする必要がある。そのためには少なくとも小児科と成人診療科との協力体制が必要とされ、多職種との連携も重要になってくる。米国では2002年に複数学会(米国家庭医療学会も含む)によるposition statementが発表された。日本では2014年に小児科学会から発表された「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」を皮切りに、小児科と臓器別成人診療科との協議が進められている。しかし移行(期)医療に多く関わる事が予想される総合診療やプライマリ・ケアでの議論はまだまだ深まっていない。
 本シンポジウムでは、プライマリ・ケア医の立場において、トランジションに関わっている実例を挙げながら、そこに必要な考え方や知識などを深めていく。一方で小児科の立場から、トランジション問題がどこまで進んでおりどこに課題があるのか、その中でプライマリ・ケア医に期待されるものについて提示していただく。最後にシンポジウムとして、トランジション問題の中でプライマリ・ケア医が今後どのような立ち位置を担ってくいくべきなのかを議論する。

シンポジウム

[S2] 総合診療医へのキャリアチェンジを支援する研修プログラムの開発

Sat. May 18, 2019 8:45 AM - 10:15 AM Room 1 (1F Main Hall)

座長:前野 哲博 (筑波大学 医学医療系 地域医療教育学)、井上 健一郎 (社会医療法人春回会 )

【開催の目的】 高齢患者が急増する中で、地域包括ケアシステムを効果的に実現するための人材として、
総合診療専門医が注目を集めている。しかしながらその養成は始まったばかりで、人数も
専攻医全体の約2%に過ぎない。一方、地域の医療機関で働く一定のキャリアを持つ医師
の中には、個々の有する専門性や経験を生かしつつ、プライマリ・ケアのフィールドに診療
の幅を広げていく新たなキャリアの形成を志向する医師が増えてきている。今後、地域にお
けるプライマリ・ケアの充実には、このようなキャリアチェンジを積極的に支援し、総合診療
能力の向上を図る教育プログラムの導入が必要不可欠である。そこで、本シンポジウムは、
当学会と全日本病院協会が開発したキャリアチェンジ支援プログラムである全日病総合医
育成プログラム事業を取り上げて、総合診療医へのキャリアチェンジ支援のあるべき姿と、
それを実現するための方策について議論を深めることを目的とする。【概要】 全日病総合医育成プログラムは「卒後20 年目の内科医や外科医が、これから初診外来・
一般病棟・全科当直・在宅ケアを担当するために必要なスキルを修得する」ことを具体的な
イメージとして掲げ、「明日から、プライマリ・ケアの現場で一歩踏み出せるようになること」
を目標にコース設計されている。6時間✕34テーマからなるスクーリングが中心で、診療実
践はもちろんのこと、チームビルディングや業務改善、コンフリクトマネジメントなどのノンテ
クニカルスキルに関する研修を大幅に取り入れているのが大きな特徴である。本シンポジ
ウムでは、プログラム導入の背景や経緯、プログラムの構成や具体的内容について提示
するともに、実際にプログラムを受講した立場から、得られた学びや現場での実践について
紹介する。その後、フロアからの意見を交えた総合討論を通して、キャリアチェンジ支援の
さらなる展開について論じたい。

シンポジウム

[S3] 街と恋をしよう〜医療が街づくりをする理由、医療と教育と産業と〜

Sat. May 18, 2019 8:45 AM - 10:15 AM Room 7 (1F Room C-1)

座長:江角 悠太 (国民健康保険志摩市民病院)

【開催の目的】 人を在宅で看取るためには、家族は最も重要な介護者であり、治療薬である。その家族が親と同地域内に健康に暮らすためには、家族が従事する仕事が必要であり、その子供達のための教育、医療が必要である。それはイコール街づくりを意味する。すなわち、人が住み慣れた街、住み慣れた家で最期まで健康に暮らすために、医師は街づくりをする必要がある。そのことを最近、在宅医療を行っていてひしひしと感じ、実際にその街の医療だけでなく、教育や産業分野に関わりながら、50年後も家族とともに暮らせる街づくりを目指し活動いている。それは結果的に、過疎地の人口減少に歯止めをかけ、田舎でも都会でも暮らしやすい国、日本を創生することにつながる。
 今回のシンポジウムの目的は、各地域でのそのきっかけ作りと、成功例、失敗例の共有であり、来年度のプライマリケア学会までの1年、それぞれの地域の医療者がどう街を創っていくかの道標になることを臨んでいます。
【概要】 シンポジスト)
邉見公雄:全国自治体病院協議会会長を長年務められ、教育、医療、一次産業による街づくりをキャッチフレーズに、地域医療介護研究会JAPANを発足されました。自治体病院界での私の父のような存在です。
井階友貴:福井大学医学部地域プライマリケア講座教授。一度お話を聞いてみたいと長年の夢が叶いました。海浜のまちづくり、健康なまちづくり大先輩です。
野中亮宏:m3グループリーダー。過疎地域の高校再生や自費リハ会社の役員など、多種多様な業務経験があり、定期的にこれからの地方創生について語り合っている仲間です。
井上貴至:鹿児島県長島町副町長を務められ、全国を旅して、地域づくりのノウハウをたくさん見られてきた総務省の官僚です。この方も定期的に語り合っている仲間です。
濱口政也:三重県熊野市紀和診療所所長。医療介護から地元の街づくりを、仲間を着々と集めて進めている若き紀南のエース。エネルギーパンパンな同級生です。

シンポジウム

[S4] 病院総合医養成の制度構築を考える

Sat. May 18, 2019 8:45 AM - 10:15 AM Room 9 (2F Room I)

座長:石丸 裕康 (天理よろづ相談所病院 総合診療教育部)、山田 康博 (国立病院機構 東京医療センター 総合内科)

【開催の目的】 国民の高齢化や患者の持つマルチプロブレム等を背景として、病院で働く医師にとってGeneralな視点を持つ事、多様な病態・問題に対応する事は益々重要となってきている。その業務を担う医師は各個人で問題を解決するために必要な知識や技術を学ぶことが多かった。近年では病院総合医、hospitalistと呼称される医師が増えつつあり、多様な問題に取り組んでいる。しかし病院総合医を取りまく制度をどのように構築すべきかについてはいまだ不透明である。本学会では2012年より病院総合医養成プログラム認定試行事業を開始し、検討を重ねてきた。この間に、関連する学会や団体でも病院総合医について種々の制度設計や提案がなされている。新・専門医制度が走り出した今、病院総合医の制度構築について具体化する時期に来ており、現状の総括、今後の展望について議論する場としたい。【概要】 日本プライマリ・ケア学会、日本病院総合診療医学会から病院総合のコンピテンシーと認定制度について現状の総括を提示する。また、関連する団体としてJ Hospitalist networkより沿革と活動について提示いただく。
 後半の討論では、様々なシチュエーションで病院で働く若手から中堅の医師に登壇いただく。それぞれが考える病院総合医像や、実際に出会う事の多いであろう症例を通して病院総合医の価値ややりがいについて会場参加者とともに考える。このシンポジウムを通して、垣根をこえた意見交換と交流が行われる事となるものと希望する。

シンポジウム

[S5] ポジティヴヘルス:人間中心のイノベーションを支える新たな健康の概念

Sat. May 18, 2019 10:30 AM - 12:00 PM Room 1 (1F Main Hall)

座長:紅谷 浩之 (オレンジホームケアクリニック)、堀田 聰子 (慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科)

【開催の目的】 元家庭医のMachteld Huber が自らの深刻な病気の体験を経て、研究者として生み出した
新たな健康の概念である「ポジティヴヘルス※」は、オランダのケアを巡る風景、専門職と
市民の学びのあり方を変え、領域を超えた社会イノベーションのエンジンになりつつある。
人と地域の暮らしが変化するなかで、改めて健康とは何か、よりよく生きることの支援とそ
れを支える学びのいまを見つめ、ポジティヴヘルスを手がかりに、すべての人が持つ可能
性を拓く未来に向けたチャレンジとプライマリ・ケアの役割を展望するシンポジウムとした
い。
※社会的・身体的・感情的問題に直面したときに、適応し、自ら管理する能力としての健康
と定義づけられ、①身体的機能、②日常機能、③メンタルウェルビーイング、④社会参加、
⑤生きがい、⑥生活の質の6 次元からなる。【概要】 健康観の変遷を概観したうえで、視点や立場・地域の異なる演者からみた人々の暮らし・健
康観と支援・学びのあり方の変化を紐解き、ポジティヴヘルスの概念及び我が国における
ムーブメントを紹介する。
さらに、ポジティヴヘルスの概念を用いることによって拓かれる未来の風景とそれに向けた
道のりを語り合う。

シンポジウム

[S6] ACP(アドバンス・ケア・プランニング) ~日々の実践とその功罪について~

Sat. May 18, 2019 10:30 AM - 12:00 PM Room 6 (B1F Room E)

座長:川口 篤也 (函館稜北病院)、宇都宮 宏子 (在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス)

【開催の目的】 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、意思決定能力が低下するときに備えて、本人があらかじめ周囲の人や医療者などと今後の医療や介護も含めた生き方を話しあっておくことであるが、2018年の診療報酬改定に盛り込まれたり、厚労省の「人生会議」という愛称決定に見られるように、現在とても注目を集めている。しかし安易な事前指示書の記載を迫るような本来のACPとはかけ離れた「影」の部分が散見されるようにもなった。
 このセッションでは、第一線の現場で活躍する方々にACPの実践と注意点について発表してもらい、参加者も交えてACPの本質的な意義とは何かを考え、実践に結びつけることを目的に企画した。
【概要】 病院勤務医の立場から市立福知山市民病院の川島篤志先生から、診療所所長の立場から東近江市永源寺診療所の花戸貴司先生からACPについての日々の実践をを発表していただき、又ホームケアクリニック横浜港南の足立大樹先生からACPのもつ危うさについての発表を基に、座長を交えてACPに向き合う際に必要な知識、態度、そして注意すべき点などをディスカッションする予定。

シンポジウム

[S7] 認知機能障害を有する高齢者に診療ガイドラインをどう活かすか―高血圧を例に―

Sat. May 18, 2019 10:30 AM - 12:00 PM Room 7 (1F Room C-1)

座長:木村 琢磨 (埼玉医科大学 総合診療内科 / HAPPINESS館クリニック)、新村 健 (兵庫医科大学内科学総合診療科)

【開催の目的】 認知機能障害を有する高齢者に診療ガイドラインを実地診療にどう活かすかについて、高血圧を例に皆様と考えます。【概要】 高齢者の増加に伴い、治療目標の設定に難渋することが多くなっています。特に認知機能障害を有する場合には、これまでの診療ガイドラインの様な生命予後や一次予防を念頭においた治療目標に設定することを躊躇することもあります。本シンポジウムでは、日常の外来診療で多い高血圧を取り上げ、認知機能障害を有する高齢者診療について、日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン(JSH)2019」、日本老年医学「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」についての解説を踏まえ、皆様と考えます。
 まず、日常の外来診療で、診療所において可能な認知機能スクリーニング、認知機能評価についてご解説をいただきます。
 次に、認知機能障害を有する高齢者の高血圧診療について、診療ガイドラインの策定に関わられたお立場から、その治療目標やポイントについてご解説をいただきます。
 そして、実地医家の立場から、認知機能障害を有する高齢者の高血圧診療における臨床的問題についてご提言をいただきます。
 その上で、フロアーの皆様とのディスカッションで、日常診療における認知機能障害を有する高齢者の高血圧診療と、「診療ガイドラインを臨床現場でどう活かすかについて考えます。

シンポジウム

[S8] 標準薬物治療の現状と課題

Sat. May 18, 2019 10:30 AM - 12:00 PM Room 9 (2F Room I)

座長:石橋 幸滋 (石橋クリニック)、坂口 眞弓 (みどり薬局)

【開催の目的】 日本プライマリ・ケア連合学会(以下PC学会)では日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会(以下アプセラ学会)の協力を得て、秋季生涯教育セミナーで「標準薬物治療」ワークショップを連続して開催してきた。今回、医療を受ける者に対して安心、安全かつ良質な薬物治療を提供するために、標準薬物治療の普及、教育、研究などの活動を行っているアプセラ学会と、地域で患者中心の総合的な医療・在宅医療・多職種連携を進めているPC学会によるジョイントシンポジウムを開催する。本シンポジウムでは、標準薬物治療に関心の高い医師・薬剤師を演者として、地域に於ける適切かつ安全な薬物治療を進めるという視点から、現状の課題と今後のアプローチについてフロアを交えて討論する。【概要】 PC学会より医師の立場から各種疾患ガイドラインをどのように活用していくか、また薬剤師の立場からプライマリ・ケアにおける安全な薬物治療実践に向けての役割と課題について述べもらう。またアプセラ学会よりなぜ標準薬物治療が必要なのか、その目的としていることと、その普及のために何が必要であるのかについて薬学、医師の立場から述べてもらう。昨今、欧米日から多くの診療ガイドラインが出され、またエビデンスと称した新薬に関する多くの大規模臨床試験が日々出てきている。ある意味、多くの薬物が氾濫している医療現場において、医療を受ける者に対して安心、安全かつ良質な薬物治療を提供することは重要な課題である。改めて標準薬物治療実践の現状と課題についてフロアを交えて討論する。

シンポジウム

[S9] 大学総合診療部門の躍進~役割と方策~

Sat. May 18, 2019 3:00 PM - 4:30 PM Room 5 (1F Room D)

座長:前田 隆浩 (長崎大学病院 総合診療科)、阿波谷 敏英 (高知大学医学部 家庭医療学講座)

【開催の目的】 総合診療と地域医療の強い関連が様々な提言や報告書に示され、これからの地域医療において重要な役割を担う存在として総合診療医に大きな期待が寄せられている。こうした中、医学教育モデル・コア・カリキュラムや医学教育分野別評価基準には総合診療科が重要な診療科の一つに位置付けられ、卒前医学教育における重要性は益々高まっている。しかしながら、大学病院総合診療関連部門の規模と置かれている状況は多様であり、その多くで特定機能病院における在り方が厳しく問われている。新専門医制度が始動し、卒前・卒後教育や地域医療における期待と大学病院における役割・ニーズにギャップがある中、新しい部門として何か新しい価値を生み出しているかどうかを自問する時期に来ているものと考えられる。全国の大学総合診療関連部門が置かれている状況や果たしている役割等について現状を正確に踏まえ、その上で課題や障害、そして大学や社会の期待を浮き彫りにし、社会ニーズを汲み取りながら大学総合診療部門の特性を発揮できる具体的方策の検討が求められている。【概要】 大学医学部や大学病院で総合診療関連部門が置かれている状況や役割は多様であることが予想されるため、先ずは全国大学病院総合診療部門連絡協議会で実施されたアンケート調査をもとに、総合診療関連部門が置かれている状況や担っている役割、診療実績等について発表してもらい現状と課題を共有する。次に、特色のある活動を精力的に展開している大学の担当者に、病院総合診療、救急医療、地域医療等の力を入れている分野の観点から具体的な活動内容や大学病院のニーズとの関連、教育へのかかわり、考えられる課題、今後の方針等について紹介をしてもらう。その上で、大学総合診療関連部門に期待される役割や機能についての論点を整理し、今後の躍進に向けて進むべき方向性や方策について参加者と議論する。

シンポジウム

[S10] プライマリ・ケア領域で活躍する診療看護師

Sat. May 18, 2019 3:00 PM - 4:30 PM Room 8 (1F Room C-2)

座長: 久保 徳彦 (国立病院機構 別府医療センター 総合診療科)、志水 太郎 (獨協医科大学 総合診療医学)

【開催の目的】 超高齢社会、医療の高度化、在宅医療の推進などを背景に、2014年に医療介護総合確保推進法が成立し、「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設された。実践的な理解力や思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる21区分38行為を、厚生労働省が特定行為と指定した。研修を受けた看護師は手順書下で特定行為を行うことが認められており、特定行為の研修を一つでも受けた看護師は特定看護師とされるが、大学院修士課程で幅広く複数の特定行為の研修を受け、資格認定試験に合格すると診療看護師(NP)の資格が与えられる。
米国Nurse Practitioner(NP)は1965年に誕生し50年以上の歴史があり、大学院修士課程で資格を取り、医師と協働して患者を診療し処方を含む医行為を実施している。日本では米国NP同様の活動はできないが、医師と連携し診療に携わる役割を担っている。診療看護師は日本版NPであり、看護師5年以上の経験と大学院修士課程で得た医学・薬理学の知識をもつだけでなく、複合的な疾患や症状のある患者を総合的に評価し、特定行為を実施する技術をもつ。現在日本では、クリティカル領域とプライマリ領域(老年・小児)の診療看護師がおり、幅広い症状や疾患をもつ患者に対し、医師と連携し生活モデルを重視した医療の提供ができる。今後、チーム医療として医師と診療看護師が連携し活動することにより、診療全体が効率的に動くと考えられる。
本シンポジウムでは、はじめに浦中桂一先生から診療看護師について総論的解説をいただく。次に伏見聖子先生から都市部の急性期総合病院における診療看護師の役割について、芹田晃道先生から僻地における診療看護師の役割について、樋口秋緒先生から訪問診療における診療看護師の役割について、廣瀬福美先生から老健施設における診療看護師の役割についてご講演をいただき、最後に和泉泰衛先生に今後どのように診療看護師はプライマリ・ケアで活躍できるか将来の可能性と展望についてご講演をいただく予定である。講演を通して、診療看護師に対する新たな認識と、診療看護師を身近に感じる契機になれば幸いである。
【概要】

シンポジウム

[S11] HPVワクチンに関するシンポジウム~日本プライマリ・ケア連合学会の医師としてなすべきことは?

Sat. May 18, 2019 4:45 PM - 6:15 PM Room 3 (2F Room B-1)

座長: 鈴木 富雄 (大阪医科大学附属病院 総合診療科)

【開催の目的】 平成25年4月に予防接種法に基づき定期接種化されたヒトパピローマウイルスワクチン(以下、HPVワクチン)が、接種後の『多様な症状』の報告により同年6月に接種勧奨が差し控えられ、5年以上が経過した。子宮頸がんは若年女性を中心として年間約10,000人が発症し、年間死亡者数は3,000人に達し、死亡者数が増加傾向にあり、予防対策が急務となっているが、定期接種対象だった平成6〜11年度生まれのHPVワクチン接種率が約70%であったのに対し、平成12年度生まれ以降では接種率が1%以下に激減している。「積極的勧奨」が差し控えられたのが大きな原因の一つと考えており、現在多くの女性が子宮頸がんのリスクにさらされたままになっている。日本プライマリ・ケア連合学会では平成30年3月にHPVに関する特別委員会を立ち上げ、委員会の審議を通じ、各種のエビデンスを集め、様々な立場からの情報を集約し、理事会での審議と承認を得て、本ワクチンの「積極的勧奨」を再開すべきと考え、政府、一般の医師、一般の対象者という三者に対して、3つの声明を公表した。これらの声明作成段階における委員会での議論そのものが、ワクチンを含む予防医療のあり方やプライマリ・ケア領域の医師の姿勢などに関して、極めて示唆に富み論考に値するものとなっている。今回は3つの声明の内容と作成過程での議論の共有を行った上で、パネラーの各識者の方々と共に、学会としての今後の展開(接種に関しての情報提供やネットワークの構築、副反応への十分なサポート体制、接種後の追跡調査への協力など)を考えていきたい。

【概要】 本シンポジウムでは感染症専門医、医療人類学者、新聞社編集委員、ワクチン接種後の多様な症状を来す小児診療に従事する小児科医、それぞれの立場からHPVワクチンに関する現時点での問題と今後我々のなすべきことを語っていただき、会場を巻き込んだ本学会ならではの風通しの良い議論の場を創りたい。

シンポジウム

[S12] プライマリ・ケアにおける運動器診療ブラッシュアップ:若手総合診療医による”整形内科”の学習・実践

Sat. May 18, 2019 4:45 PM - 6:15 PM Room 5 (1F Room D)

座長: 白石 吉彦 (隠岐広域連合立隠岐島前病院)、小林 只 (弘前大学医学部附属病院 総合診療部)

【開催の目的】 運動器疼痛は世界中で有訴率上位の症状です。社会の高齢化に伴い、しばしば高齢者の日常生活をも困難にする運動器疼痛への対応技術は、プライマリ・ケア医の必須スキルです。国際的にもSurgical Orthopedics、Non-Surgical Orthopedics、Physical medicine and Rehabilitation(PMR)の部門の分離・発展が進む中、日本の“整形内科Non-surgical orthopedics “は上記のうち後二者を扱う「一般に手術によらない方法での運動器疼痛および難治性疼痛の診療とその研究を行う医学の一分野」です。書籍「白石吉彦、白石裕子、皆川洋至、小林只(編)The整形内科(南山堂2016)」は2017年に韓国語にも翻訳出版されており、日本はアジアを先導しています。
整形内科診療の主な特徴は、超音波診断装置(エコー)を最大限活用した発痛源評価とエコーガイド下注射(例:神経ブロック、ファシア・ハイドロリリース)により即時的治療と原因部位同定を行うこと、およびその悪化因子を疾患から生活動作に渡るまで俯瞰的かつ具体的に検討することです。なにより、従来の医学知識に加え、看護師・療法士・鍼灸師ら多職種の知見を多角的に取り込むことが重要です。今回は、各地で整形内科を実践している若手総合医の活動を共有し、参加者の整形内科診療に係る活動の一助となることを期待します。
【概要】 日本の整形内科を創始した2名の総合診療医の座長をする中、へき地・離島の診療所および小・中規模病院などの多様な地で勤務する若手総合診療医が「どうやって整形内科を学び、活用しているか?」を具体的な治療ケースを挙げて発表します。その後、発表者の方法論・課題について座長・参加者と「より良い整形内科の取り組み方」について議論します。

シンポジウム

[S13] 家庭医療学生サークル(FMIG)をもっともっと日本に増やそう、そして世界とつながろう

Sat. May 18, 2019 4:45 PM - 6:15 PM Room 8 (1F Room C-2)

座長: 吉村 学 (宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座)、玉井 杏奈 (地域医療振興協会)

【開催の目的】 2016年浅草大会の招待講演でオレゴン健康科学大学(OHSU)家庭医療学講座Saultz教授は米国家庭医療50年の歴史から学んだ7つの教訓の中で、"Inspire the students"を挙げた。正規の教育カリキュラム外の代表的な活動として米国家庭医療学会が強力にバックアップしているサークル活動Family Medicine Interest Group (FMIG)を日本にも導入して学生たちの関心を盛り上げるのも一つの方策であろう。このような考えのもと、浅草大会でOHSUやハワイ大学の支援を得てFMIGの交流会(Mixer)実施。活動内容の紹介、幹部生リーダーシップ教育、教員の関わり、卒業後の関わり等を取り扱った(日本プライマリ・ケア連合学会誌 2017;40(4):195-8)。現在初期研修医終了生の1.8%しか家庭医を選択していない。これをせめて'30年までに10%にしたいと考えている(3010:サンマルイチマル運動)。京都大会でも国内外の医学生サークル代表の協力を得ながら日本の学生や関係者を焚き付けていくシンポジウムを企画した。【概要】 企画責任者である宮崎大学の吉村と地域医療振興協会のアドバイザーとして活動している家庭医の玉井が共同座長をして進行する。今回の学生サークルの定義はFMIGに限定せずに、幅広く捉えて登壇していただいた。演者はそのサークルの代表者または幹部とし、発表内容は団体の概要、目的、運営、参加していてよかったこと、課題、他大学や外へ向けてのメッセージ等を紹介していただく。残りの時間を使って、会場も参加して企画名にあるムーブメントを起こしながら3010を達成していくにはどんなアイディアがあるかみんなで出し合っていく。

三浦彩人1,小茅生 直輝1,鋪野 紀好2,3,伊藤 彰一3,4,生坂 政臣2,3 (1.千葉大学医学部医学科, 2.千葉大学医学部附属病院総合診療科, 3.千葉大学医学部附属病院総合医療教育研修センター, 4.千葉大学大学院医学研究院医学教育研究室)

シンポジウム

[S14] プライマリ・ケア看護師:地域での先駆的な実践

Sun. May 19, 2019 9:15 AM - 10:45 AM Room 5 (1F Room D)

座長: 森山 美知子 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科)、中山 法子 (糖尿病ケアサポートオフィス)

【開催の目的】 日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア看護師の認定が開始されることとなった。地域では、診療所、施設、訪問看護ステーション、中小規模医療機関、保健センターなどさまざまなプライマリ・ケアの現場で多くの看護職が活躍している。ジェネラリストに加え、高度実践看護師、認定看護師、診療看護師などの活躍も広がっている。
本シンポジウムでは、プライマリ・ケア看護師の育成、普及、そして、先駆的な実践について共有し、課題についてディスカッションするものである。
【概要】 最初に学会認定プライマリ・ケア看護師の認定制度について概説する。続けて、日本で先駆的にプライマリ・ケア領域で診療看護師/ナースプラクティッショナーを養成している、そして、へき地医療や離島医療に貢献するプライマリ・ケア看護師を養成している大学の担当教員に、その教育プログラムの特徴や力を入れている点、さらには先駆的な地域での実践活動を紹介してもらう。
最後に、わが国でプライマリ・ケアを担う看護師を、戦略的にどのように育成、拡大していくのか、専門性や役割、先駆的な実践をどのようにして構築してきたか、本学会との連携など、ディスカッションを行う。

シンポジウム

[S15] 総合診療のこれまで:私たちはどこから来て、どこへ行くのか

Sun. May 19, 2019 11:00 AM - 12:30 PM Room 2 (2F Room A)

座長: 髙屋敷 明由美 (筑波大学医学医療系)、松村 真司 (松村医院)

【開催の目的】 2010年に日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会が合併した。前身の3学会はそれぞれ異なる歴史と活動背景を持っていたが、合併以降はそれぞれの団体の理念と特色を生かしつつ、一体となって活動を続けてきた。日本プライマリ・ケア連合学会が発足してからまもなく10年を迎えようとしている今、私たちのこれまでについて整理し、記録を後世に残すことを目的としたプライマリ・ケア・アーカイブ・プロジェクトチームが立ち上がり活動を開始した。本セッションはその活動の一環として、これまでの私たちの歴史の鍵となる出来事にかかわった当事者たちの語りを整理し、その記録を未来へ伝える目的で企画された。【概要】 前身の3学会が活動を育て発展させ、そして現在の私たちの形になっていく過程において、鍵となっていった出来事が数多くある。それらは多岐に渡るが、今回はそれらのうち、①日本初の総合診療研修・教育システムはなぜ、どのような背景で生まれたか(天理よろづ相談所病院、1976)、②臨床研修指導医海外派遣制度と家庭医に関する懇談会(1980、1985)、③家庭医療学夏期セミナーが生まれた理由とその発展について (1984)、④プライマリ・ケア教育連絡協議会から3学会合併へ(2004)、を取り上げる。それぞれについて、どのような背景で、どのようにこれらの活動が生まれたのかを、それらに関わった当事者たちにインタビュー形式で尋ねるセッションを設ける。また、これらの出来事が、現在そしてこれからの私たちにどのような示唆を与えているか、フロア参加者を含めて議論を行い、今後の私たちの活動に役立てたいと考えている。また、本セッションそのものを貴重なアーカイブとしてその内容を整理保存の上、発行物としてまとめる予定である。

シンポジウム

[S16] ずっと働きたい職場をめざして~ダイバシティを取り入れた働き方改革~

Sun. May 19, 2019 1:30 PM - 3:00 PM Room 1 (1F Main Hall)

座長: 西村 真紀 (川崎医療生協・川崎セツルメント診療所)、蓮沼 直子 (広島大学医学部附属医学教育センター)

【開催の目的】 政府は働き方改革を掲げている。とはいえ、医療現場への導入は課題が山積みである。医師の長時間労働は焦点の当たりやすい問題であるが、実際には看護職、事務職、薬剤師その他ありとあらゆる職種が関係し影響を及ぼしあっている。実現するためにはチーム制、タスクシフト、業務内容の見直し、職場の雰囲気の醸成など具体的な方略が必要であるが、現実的な方法や成功事例について知る機会は少なく、管理者・指導者にとって、「取り組むべきことだが取り組み方がわからない」という声も聞く。
本シンポジウムでは、管理職の医師とそれを支える事務職から、多様な背景を持った医療者が様々な形で働けている事例・工夫について多角的に話を伺う予定である。そして、総合診療・家庭医療・プライマリ・ケアの領域で働く医療者が、職種を問わず幸せに働くための方略のヒントを得ることを目標とした。
【概要】 熊本大学医学部附属病院地域医療支援センターの後藤理英子先生より働き方改革として医療現場に求められていることと熊本大学病院でのタスク・シフティングの取り組みについてご紹介いただく。次に、北海道家庭医療学センターの草場鉄周先生より専門医の養成、FDに尽力しつつ組織を発展させてきた経験から、いかにニーズの変化に対応して長年在籍するスタッフを獲得してきたかについて、同法人の高橋宏昌事務局長より経営と両立させる工夫といった支える仕組みについてご紹介いただく。また、王子生協病院の平山陽子先生より様々な背景を抱える人財が働き続けるための仕組みや工夫、課題について、同病院の医局事務長原あゆみさまより他の職種とのバランスや風土づくりといった仕組みを成り立たせるための工夫について実績を踏まえご紹介いただく。
以上を踏まえ、ディスカッションでは起こりうる課題、問題と対応策について話し合い、働きやすさと業績を両立させ持続可能な仕組みを形づくるためのヒントを抽出する予定である。

シンポジウム

[S17] テクノロジーと地域社会の節度ある融合を目指して~機器開発・現場運用・プラットフォーム形成~

Sun. May 19, 2019 1:30 PM - 3:00 PM Room 7 (1F Room C-1)

座長: 古屋 聡 (山梨市立牧丘病院)、並木 宏文 (地域医療振興協会 十勝いけだ地域医療センター)

【開催の目的】 人工知能・ビッグデータ・IoT・ヘルスケアデバイスなど、テクノロジーへの過度な期待と誤解が一層進む昨今、患者の疾病情報は官民・多施設で共有され、一般人による自己採血検査やインターネット情報による自己診断も普及してきた。加えて、安価・高性能に進展する医療機器の大衆化が進み、精度限界を考慮しない機器や情報の悪用・誤用も懸念される。現実に、世界中で医療費抑制・セルフケアのスローガンの元、一般人によるバイタルサイン測定、検体検査(例:血糖値・CRP)、生理検査(心電図・呼吸機能・超音波検査)、人工知能による自動診断の活用が進む。このヘルスケアの産業化により、医療者・患者・一般市民・地域の不安・混乱が加速する一方、多くの企業による新しい市場の獲得競争が過熱している。この中、我々は節度をもって機器開発・運用されるための中立的なプラットフォーム形成を目指す活動の一端を当学会で継続的に発表してきた。そして、2016年には「ヘルスケアデバイスによる地域・医療機関の混乱を防ぐためのプラットフォーム作りを目指して」、2017年には「IoT時代における総合診療医の役割と課題」のテーマでシンポジウムを開催した。
 今回は、これまでの歴史的経緯と進捗を加味して、各分野の先駆者達と「テクノロジーと地域社会の節度ある融合」という題の元、機器開発・現場運用・プラットフォーム形成について議論する。
【概要】 以下のテーマを4名に講演頂いた後、会場と議論する。
◯小林 只:ヘルスケアの産業化の光と影~近未来の患者受療行動と医療者の責務~
◯小川晋平:医療現場に対峙する“超”聴診器の開発~臨床医として、そして開発者として~
◯北澤彰浩:医療現場へのテクノロジーの活用姿勢〜医療の民主化を展望して〜
◯山口睦弘:大衆化する医療機器活用の質の担保~ポケットエコー・ライフ・サポートが目指すもの~

シンポジウム

[S18] プライマリ・ケアにおけるアンチ-ドーピング

Sun. May 19, 2019 1:30 PM - 3:00 PM Room 9 (2F Room I)

座長: 坂口 眞弓 (みどり薬局)、鈴木 秀明 (有限会社弘法薬局)

【開催の目的】 2020年は東京オリンピックが開催される。スポーツ熱が高まっている中、医療系の問題として挙げられるのがドーピングである。
ドーピングはフェアプレーの精神に反するとして、全世界、スポーツ界全体で禁止されており、スポーツ選手や関係者のみならず広く世間に認知されている。そのため医療現場において、スポーツをしている患者や家族、又は監督やコーチからドーピング反応陽性にならない治療法や処方薬、一般用医薬品や漢方薬、サプリメントの服用などについて相談される機会が多くなっているのではないだろうか。
組織的なドーピングは別として、TUE(治療使用特例)申請忘れの治療薬の使用や市販の風邪薬、サプリメントの服用などで起きたドーピングは、プライマリ・ケアをつかさどる医療者によって防ぐことが可能であると考えられる。
本ジンポジウムでは、シンポジストそれぞれの立場からアスリートの健康や名誉を守るため、わたしたち医療者がアンチ-ドーピングにどう関わっていくべきかを学ぶ。
【概要】 医師(スポーツドクター)、薬剤師(スポーツファーマシスト)、日本アンチ-ドーピング機構職員、アスリートそれぞれの立場から、アンチ-ドーピングの現状と課題、プライマリ・ケアにおけるアンチ-ドーピングについて語っていただき、重要性を学ぶ。

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Authentication

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You can also find the password in the Pocket program distributed at the venue.

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