16:15 〜 16:30
[S02-06] 微弱な信号を検出するための2点地震観測法の提案
1. はじめに 地震計を地表に設置した場合と、地下深部に設置した場合の違いは、ノイズの発生源から離れているか否かである。地震計を地表に設置すると、観測される波形に、風雨や人工的ノイズの混入が避けられない。しかし、センサー近傍で発生するノイズを除去することができれば、地表設置のセンサーでも、地下深部に設置した地震計と同程度に高精度の観測データが得られる可能性がある。本発表では、数mから数10m離れた2地点にセンサーを設置し、2点の観測波形のconvolutionを連続的に計算(以下convolution波形と呼ぶ)すると、convolution波形には、センサー近傍で発生するノイズがほぼ含まれなくなり、到着時刻の読み取りや、地下構造推定に適した記録が得られることについて述べる。
2. Convolution波形の計算法 数mから数10m離れたA点、B点の2ヵ所に地震計が設置されているとする。A点の地震計では、A点の近傍に発生源を持つノイズの振幅は大きい。しかし、両者の設置位置が離れていることから、B点の近傍で発生するノイズの振幅は小さい。B点でも、同様である。また、ノイズの発生源が異なることから、両者の波形の相関は低いと考えられる。一方、地震は、地下深部で発生することから、両観測点での波形は、到着時刻の僅かな差はあっても、相関は高いと思われる。
A点、B点の地震計で観測されるとノイズ波形と、地震波形を分離してUa(t)=Na(t)+Sa(t)、Ub(t)=Nb(t)+Sb(t)と表す。ここに、Na(t)、Nb(t)は、A点、B点でのノイズ波形Sa(t)、Sb(t)は、地震波形である。Ua(t)とUb(t)との区間長wのconvolutionは、因果律を満足するよう積分範囲を変更して表すと、
f(t,p)=∫t-wt ua(T)Ub(T-p)dT (1)
と表せる。地震によるP波がA点に到着する時刻と、B点に到着する時刻との差の最大値をΔtとすると、pを-ΔtからΔtまで変動させた場合のf(t,p)の最大値は、
G(t)=max{f(t,p)}、 -Δt<p<Δt (2)
と表される。本報告のconvolution波形とは、G(t)のことである。簡単のため、A点、B点でのノイズとノイズ、地震波とノイズの相関は0、地震波の相関は1であると仮定すると
G(t)≒∫t-wt Sa(T)2dT (3)
と表される。(3)式は、ノイズとノイズとの相関、地震波とノイズとの相関が低ければ、convolution波形は、センサーの近傍で発生するノイズを含まないことを示している。
3.結果 加藤(2018)による熊本での1000点のアレイ観測データを用いて、convolution波形の有効性について調べた。図1に熊本でのアレイ観測のconvolution 波形と生波形との比較が示す。Convolution 波形は、S/Nが極めて高く、到着時刻の読み取りに適している。また、convolution 波形は、コヒーレントな位相が到来すると、振幅が大きくなる性質があることから、反射法探査の解析にも利用できるものと期待される。
2. Convolution波形の計算法 数mから数10m離れたA点、B点の2ヵ所に地震計が設置されているとする。A点の地震計では、A点の近傍に発生源を持つノイズの振幅は大きい。しかし、両者の設置位置が離れていることから、B点の近傍で発生するノイズの振幅は小さい。B点でも、同様である。また、ノイズの発生源が異なることから、両者の波形の相関は低いと考えられる。一方、地震は、地下深部で発生することから、両観測点での波形は、到着時刻の僅かな差はあっても、相関は高いと思われる。
A点、B点の地震計で観測されるとノイズ波形と、地震波形を分離してUa(t)=Na(t)+Sa(t)、Ub(t)=Nb(t)+Sb(t)と表す。ここに、Na(t)、Nb(t)は、A点、B点でのノイズ波形Sa(t)、Sb(t)は、地震波形である。Ua(t)とUb(t)との区間長wのconvolutionは、因果律を満足するよう積分範囲を変更して表すと、
f(t,p)=∫t-wt ua(T)Ub(T-p)dT (1)
と表せる。地震によるP波がA点に到着する時刻と、B点に到着する時刻との差の最大値をΔtとすると、pを-ΔtからΔtまで変動させた場合のf(t,p)の最大値は、
G(t)=max{f(t,p)}、 -Δt<p<Δt (2)
と表される。本報告のconvolution波形とは、G(t)のことである。簡単のため、A点、B点でのノイズとノイズ、地震波とノイズの相関は0、地震波の相関は1であると仮定すると
G(t)≒∫t-wt Sa(T)2dT (3)
と表される。(3)式は、ノイズとノイズとの相関、地震波とノイズとの相関が低ければ、convolution波形は、センサーの近傍で発生するノイズを含まないことを示している。
3.結果 加藤(2018)による熊本での1000点のアレイ観測データを用いて、convolution波形の有効性について調べた。図1に熊本でのアレイ観測のconvolution 波形と生波形との比較が示す。Convolution 波形は、S/Nが極めて高く、到着時刻の読み取りに適している。また、convolution 波形は、コヒーレントな位相が到来すると、振幅が大きくなる性質があることから、反射法探査の解析にも利用できるものと期待される。