10:00 AM - 10:15 AM
[S03-03] Models for crustal deformation associated with seismovolcanic event in and around Miyakejima and Kozushima in 2000 inferred from GNSS data
1.はじめに
2000年6月26日より三宅島直下で群発地震が発生し始め、時間の経過とともに岩脈の貫入を伴ってその活動領域は北西方向へ拡がっていった。また、Mw 6程度の地震が5回発生した。三宅島のGNSS観測点では3ヶ月間で最大で約90 cmの収縮に伴う変位や、本州でも通常とは異なる変位を観測するなど非定常地殻変動が広域で観測された。この一連の地震・火山活動を三宅-神津イベントと呼ぶ。
このイベントについて、Seno(2005)は山岡(2000)の岩脈貫入モデルと伊豆半島下に設定したデタッチメントモデルによって本州の地殻変動の水平成分を説明したが、伊豆諸島の観測データを説明できていない可能性がある。また、Nishimura et al. (2001)は伊豆諸島と本州の30以上のGNSS観測点の3成分データを用いて4つの力源を推定したが、本州の地殻変動を説明できていない可能性がある。そこで、本研究では、GNSSの水平・上下データを用いて、伊豆諸島、および本州で観測された地殻変動を同時に説明しうるモデルの構築を試みた。
2.データと解析手法
解析に用いたデータは国土地理院の日々の座標値、F3解の1998年1月1日から2003年12月31日までの伊豆諸島と東海地方、中部地方、関東地方の243のGNSS観測点の時系列データである。固定点は新潟県にある大潟(950241)と柏崎2(960567)の2点とした。まず、解析に使用した全観測点の時系列データから求めた共通誤差成分とトレンドを時系列データから除去した。トレンドの推定期間は1998年5月1日から2000年6月6日までとした。同イベントによる変位量は2000年6月7日から9月5日までの時系列データから求めた。さらに、得られた変位量から、三宅-神津イベントで発生した上記の Mw 5.9-6.5の 5 つの地震による地震時の変位を除去した。さらに、同イベントに伴う各観測点での変位から、Nishimura et al. (2001)の断層モデルから計算される変位を除去し、本州の残差の変位データに対して、他の力源によるすべり量をインヴァージョン解析によって推定することを試みた。
3. 結果と考察
このようにして得られた本州での水平・上下の変位データに対して Seno(2005)のデタッチメントモデルのすべり域の大きさと位置を仮定して、インヴァージョンによりすべりの空間分布を求めた。その結果、最大すべり量は6.9 cm、平均のすべり量は3.9 cmと求まり、等価なモーメントマグニチュードは6.4と推定された。すべりの方向は Seno(2005)とほぼ一致したが、同研究では20 cmの一様なすべりが得られており、すべり量の大きさに違いがみられた。また、インヴァージョンによるすべり分布から求めた計算変位と観測変位を比較すると、伊豆半島以外の本州の観測点ではほとんど一致しなかった。
本講演では、さらに伊豆諸島の変位と本州の地殻変動データをよりよく説明するモデルを提案する予定である。
2000年6月26日より三宅島直下で群発地震が発生し始め、時間の経過とともに岩脈の貫入を伴ってその活動領域は北西方向へ拡がっていった。また、Mw 6程度の地震が5回発生した。三宅島のGNSS観測点では3ヶ月間で最大で約90 cmの収縮に伴う変位や、本州でも通常とは異なる変位を観測するなど非定常地殻変動が広域で観測された。この一連の地震・火山活動を三宅-神津イベントと呼ぶ。
このイベントについて、Seno(2005)は山岡(2000)の岩脈貫入モデルと伊豆半島下に設定したデタッチメントモデルによって本州の地殻変動の水平成分を説明したが、伊豆諸島の観測データを説明できていない可能性がある。また、Nishimura et al. (2001)は伊豆諸島と本州の30以上のGNSS観測点の3成分データを用いて4つの力源を推定したが、本州の地殻変動を説明できていない可能性がある。そこで、本研究では、GNSSの水平・上下データを用いて、伊豆諸島、および本州で観測された地殻変動を同時に説明しうるモデルの構築を試みた。
2.データと解析手法
解析に用いたデータは国土地理院の日々の座標値、F3解の1998年1月1日から2003年12月31日までの伊豆諸島と東海地方、中部地方、関東地方の243のGNSS観測点の時系列データである。固定点は新潟県にある大潟(950241)と柏崎2(960567)の2点とした。まず、解析に使用した全観測点の時系列データから求めた共通誤差成分とトレンドを時系列データから除去した。トレンドの推定期間は1998年5月1日から2000年6月6日までとした。同イベントによる変位量は2000年6月7日から9月5日までの時系列データから求めた。さらに、得られた変位量から、三宅-神津イベントで発生した上記の Mw 5.9-6.5の 5 つの地震による地震時の変位を除去した。さらに、同イベントに伴う各観測点での変位から、Nishimura et al. (2001)の断層モデルから計算される変位を除去し、本州の残差の変位データに対して、他の力源によるすべり量をインヴァージョン解析によって推定することを試みた。
3. 結果と考察
このようにして得られた本州での水平・上下の変位データに対して Seno(2005)のデタッチメントモデルのすべり域の大きさと位置を仮定して、インヴァージョンによりすべりの空間分布を求めた。その結果、最大すべり量は6.9 cm、平均のすべり量は3.9 cmと求まり、等価なモーメントマグニチュードは6.4と推定された。すべりの方向は Seno(2005)とほぼ一致したが、同研究では20 cmの一様なすべりが得られており、すべり量の大きさに違いがみられた。また、インヴァージョンによるすべり分布から求めた計算変位と観測変位を比較すると、伊豆半島以外の本州の観測点ではほとんど一致しなかった。
本講演では、さらに伊豆諸島の変位と本州の地殻変動データをよりよく説明するモデルを提案する予定である。