11:45 AM - 12:00 PM
[S03-09] Detection of seafloor crustal deformation due to shallow SSE using ocean bottom pressure with long-period tidal variability corrections
近年海底下での地殻変動検出を目的とした海底圧力観測が重要視されている。特に海底下の浅部で発生するスロースリップの変動源の推定に際して、陸上のGNSS観測のみでは不十分であり、直上の海底圧力計が重要な役割を果たす。本研究では深海域に設置された海底圧力計記録に含まれる海洋起源の圧力変動に着目する。特に長周期潮汐成分(周期2日以上)を除去することで浅部スロースリップに伴う、海底の上下変動を精度よく検出する手法について述べる。
海底で観測される水圧は機器直上の海水の量に大きく依存する。海底圧力計は海底の地殻変動(上下動)を高い分解能で観測する一方で、観測される圧力値には直上の気圧や海水量など地殻変動以外の成分も含まれる。海洋起源の圧力変化は、観測される非地殻変動成分の中でもその割合が大きく、潮汐成分および潮汐以外の要因からなる非潮汐成分に分けられる。さらに潮汐成分は短周期の成分(2日未満)と長周期の成分(2日以上、以後「長周期潮汐成分」)が含まれる。本研究で研究対象とするスロースリップに伴う地殻変動(数週間から数ヶ月の変動)の解析では、地殻変動成分と長周期潮汐成分の周波数成分はほぼ一致するため、長周期潮汐成分の除去が不可欠となる。しかしながら、先行研究(Muramoto et al., 2019; Hino et al., 2013など)では観測された圧力値から短周期の潮汐成分と非潮汐成分を取り除いており、長周期潮汐成分は除去していない。
ニュージーランドヒクランギ沈み込み帯に2014年から2017年の期間に設置された海底圧力計記録を解析に用いた。非潮汐成分の補正には海洋モデル(Inazu et al., 2012)を使用し、長周期潮汐成分の補正にはBAYTAP-L(Tamura et al., 1991)を使用した。その結果、長周期潮汐を観測記録から除去することで、ある観測点では、長周期潮汐を除去する前の圧力値の時系列に比べて標準偏差が10%程度(0.1hPa程度)減少した。議論では、推定された長周期潮汐とモデル計算による長周期潮汐を比較し、推定された値の妥当性を検証する。さらに、長周期潮汐を除去した圧力値を用いて、観測期間に発生したスロースリップ(2015年9月、2016年11月など)に対して、海底地殻変動の推定を行った結果を示す予定である。
海底で観測される水圧は機器直上の海水の量に大きく依存する。海底圧力計は海底の地殻変動(上下動)を高い分解能で観測する一方で、観測される圧力値には直上の気圧や海水量など地殻変動以外の成分も含まれる。海洋起源の圧力変化は、観測される非地殻変動成分の中でもその割合が大きく、潮汐成分および潮汐以外の要因からなる非潮汐成分に分けられる。さらに潮汐成分は短周期の成分(2日未満)と長周期の成分(2日以上、以後「長周期潮汐成分」)が含まれる。本研究で研究対象とするスロースリップに伴う地殻変動(数週間から数ヶ月の変動)の解析では、地殻変動成分と長周期潮汐成分の周波数成分はほぼ一致するため、長周期潮汐成分の除去が不可欠となる。しかしながら、先行研究(Muramoto et al., 2019; Hino et al., 2013など)では観測された圧力値から短周期の潮汐成分と非潮汐成分を取り除いており、長周期潮汐成分は除去していない。
ニュージーランドヒクランギ沈み込み帯に2014年から2017年の期間に設置された海底圧力計記録を解析に用いた。非潮汐成分の補正には海洋モデル(Inazu et al., 2012)を使用し、長周期潮汐成分の補正にはBAYTAP-L(Tamura et al., 1991)を使用した。その結果、長周期潮汐を観測記録から除去することで、ある観測点では、長周期潮汐を除去する前の圧力値の時系列に比べて標準偏差が10%程度(0.1hPa程度)減少した。議論では、推定された長周期潮汐とモデル計算による長周期潮汐を比較し、推定された値の妥当性を検証する。さらに、長周期潮汐を除去した圧力値を用いて、観測期間に発生したスロースリップ(2015年9月、2016年11月など)に対して、海底地殻変動の推定を行った結果を示す予定である。