Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Room B

General session » S06. Crustal Structure

[S06]AM-2

Tue. Sep 17, 2019 10:45 AM - 12:15 PM ROOM B (Symposium Hall, International Science Innovation Building)

chairperson:Ryuta Arai(JAMSTEC), ryosuke Azuma(Tohoku University)

10:45 AM - 11:00 AM

[S06-04] Particle motion of Rayleigh waves in the ocean bottom : Effects of water and sediment

*SHUN FUKUSHIMA1, KIYOSHI YOMOGIDA1 (1. Hokkaido University, Graduate School of Science,Department of Natural History Sciences)

表面波の波形記録から地球表層の地球内部構造を推定する際、表面波が伝搬する2点間の位相速度や群速度の分散曲線がこれまで用いられてきた。これとは別にレイリー波の楕円率からも観測点の近くのでの地震波速度構造を推定できることが知られている(e,g.,Tsuboi & Saito,1983)。レイリー波の楕円率は固有関数の地表面での振幅比で定義されるため、位相速度よりも浅い部分の地球内部構造に感度が高い。強震動の研究分野でのサイト特性を簡便に評価するために、常時微動の水平と上下成分の振幅比, H/V値が用いられるが、基本的には同じ原理である。近年DONETなどの海底地震計技術の発達により海底面での地震波が数多く観測されるようになり、レイリー波の楕円率も詳しい観測が可能となりつつある。しかし、陸上地震計と海底地震計では、境界条件が異なるため楕円率が異なることが予想される。さらに堆積層では急激にP波速度やS波速度が減少するが、海底堆積層の楕円率への影響は十分に研究されていない。
本研究では楕円率をV / H値として周期10秒から40秒の海底面でのレイリー波の楕円率を計算した。PREM (e,g.,Dziewonski & Anderson,1981)には3kmまで海が含まれているが、海を含むPREMと海を取り除いたPREMについて楕円率を計算し、陸上地震計と海上地震計での楕円率の違いを検証した。さらに海を含むPREMと海を含まないPREMそれぞれに海底と地表から500mまで堆積層(PREMからP波速度を10%、S波速度を50%減少とした)を含め、楕円率への影響を検証した。これらの4つのモデルの楕円率(実線)と位相速度(点線)を図に示す。陸上での観測(no ocean)では位相速度の研究で明らかにされているように、堆積層があると位相速度は周期20秒以上でもほぼ一様に減少し、楕円率は小さくなる、すなわち表面に低速度層が加わるため水平動が卓越する。一方、海が加わると、位相速度は(深さに応じて)周期15秒前後から短周期では大きく減少するが長周期ではあまり変化はない。これは位相速度の感度が長周期帯において表面近くでは小さいためである。一方、海底面での楕円率は海が存在すると(赤線)、全周期わたり、大きくなっており、周期が短くなるとこの特徴が強く、水平動に比べて上下動が大きくなっている。堆積層の場合と異なり、観測点の上側にP波だけが存在する層があると上下動成分だけが選択的に大きくなるためと考えられる。これに対して、堆積層を含む場合には(緑線)、陸上と同じように、楕円率は小さくなり、上下動が大きくなる効果は抑えられる。
このように、海底面ではP波速度もS波速度も遅い堆積層があっても、P波速度だけが存在する海水の効果のために、上下動が大きくなる可能性がある。