Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Room B

General session » S08. Earthquake Source Processes and Physics of Earthquakes

[S08]AM-2

Wed. Sep 18, 2019 10:45 AM - 12:00 PM ROOM B (Symposium Hall, International Science Innovation Building)

chairperson:Toshiko Terakawa(Nagoya University), Keisuke Yoshida(Tohoku University)

11:00 AM - 11:15 AM

[S08-24] CMT inversion of aftershocks of the Yufu, Oita earthquake triggered by the 2016 Kumamoto earthquake using 3D FDM Green functions

*Hirofumi Kowari1, Masanao Komatsu1, Hiroshi Takenaka1, Taro Okamoto2, Takeshi Nakamura3 (1. Department of Earth Sciences, Okayama University, 2. Tokyo Institute of Technology, 3. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)

2016年4月16日1時25分に熊本県を震源とするMJMA7.3の熊本地震が発生し, 約32秒後に大分県の由布を震源とするMJMA5.7の地震を誘発した。誘発地震発生後1ヶ月以内に, 大分県由布から別府湾にかけて, 誘発地震の余震と考えられるMJMA3.6からMJMA5.4のイベントが4回発生した(図1)。我々はこれらの余震のうち規模の大きい2つのイベント:2016年4月16日7時11分(event1, MJMA5.4), 4月29日15時9分(event2, MJMA4.5)の強震波形記録に3次元構造モデルを用いたCMTインバージョンを適用した(小割・他, 2018, JpGU)。本研究では, 先の2つのイベントの再解析の他に, 残り2つのイベント:2016年4月16日8時27分(event3, MJMA3.7), 同日23時26分(event4, MJMA3.6)の解析を行い, 地震の位置, 規模, 震源メカニズムを推定する。インバージョンにはOkamoto et al.(2017)のコード, グリーン関数の計算には陸上・海底地形を考慮できるNakamura et al.(2012)の3次元差分法コードを用いる(計算領域は, 図2 a)。このとき3次元構造モデルには, 地震基盤より上は地形とともに3次元地盤構造モデル(吉見・他, 2017), 地震基盤より下は地震調査研究推進本部の全国1次地下構造モデル(暫定版)を使用する(図2 b)。本研究で使用した波形データは, 気象庁の震度観測計と防災科学技術研究所のK-NETとKiK-netの観測点で記録された加速度波形を積分した速度波形のうち, 3点以上の観測点(×3成分)の波形を使用した。小割・他(2018, JpGU)では帯域を一律周期10秒から30秒としたが, 本研究で対象としたイベントは規模が小さいことを考慮して, 周期数秒のより短周期の成分までインバージョンに含めた。
ここで, 結果の例として, event3(4月16日8時27分のMJMA3.7のイベント)の結果を記す。帯域は周期4秒から30秒を用い, 観測記録は別府市鶴見(気象庁), 別府市天間(同), 湯布院(OIT009, K-NET)の3観測点を用いた。セントロイドの位置は, 気象庁一元化震源の震央位置より南西方向約2 kmで, 海水準からの深さ2 km(地表面からの深さ2.5 km)と求まった。セントロイドの深さは, 気象庁一元化震源(7.0 km), F-net CMT(5 km)と比較して浅い。この地域は火山の影響で地震発生層の下限が非常に浅いと考えられている(例えば Matsumoto et al., 2016, EPS)ことと整合的である。この地震の規模はMW3.8と推定された。発表ではこの他のイベントの結果も示し, これらの地震の発生位置, 震源メカニズムや周辺の断層分布の関係から, 応力場及び誘発地震のメカニズムについて議論する。

謝辞:本研究では気象庁, 防災科学技術研究所の強震記録を使用しました。