日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(3日目)

一般セッション » S08. 地震発生の物理

S08P

2019年9月18日(水) 13:00 〜 14:30 P会場 (時計台国際交流ホールII・III)

13:00 〜 14:30

[S08P-04] 高精度震源決定による2016年ニュージーランドカイコウラ地震の震源分布の特徴と断層形状

*河村 優太1、松本 聡1、岡田 知巳2、松野 弥愛2、飯尾 能久3、佐藤 将2、Bannister Stephen4、Ristau John4、Savage Martha5、Twonend John5、Pettinga Jarg6、Ghisetti Francesca7、Sibson Richard8 (1. 九州大学、2. 東北大学、3. 京都大学、4. ジー・エヌ・エスサイエンス、5. ヴィクトリア大学ウェリントン、6. カンタベリー大学、7. テラジオロジカ、8. オタゴ大学)

2016年11月14日、ニュージーランド南島北東部においてMw.7.8の地震が発生した。この地震の特徴は、多数の断層が関与した複雑断層破壊の過程によって生じた地震であるということである。これまでに多くの先行研究がなされているが、その中でもClark et al., 2017では、逆断層、横ずれ断層型の余震が活発に起きており、領域全体で20以上の断層破壊が生じたと指摘されている。また、Cesca et al., 2017においては、余震活動の分布から北部、中央部、南部の地域に分けて、3つの代表的な断層面を仮定して複雑なすべりを考察している。しかし、これらの研究では観測点間隔が50km程度の観測網のデータを用いているため、詳細な断層形状を議論することが困難であると考えられる。本研究では、我々が現地に本震前から展開している臨時地震観測網のデータを加えることで、震源決定の精度向上を図った。さらに、hypoDD(Waldhauser and Ellsworth, 2000)に波形相関法(Poupinet et al., 1984)を適用し、震源決定の精度を高めた。

この結果、震源分布のばらつきが減少し、深さもおおむね15km以浅に集中する分布が得られた。全体をみると、主に北東―南西走向の指向性があり、1辺10km程度の小規模なクラスターが帯状に連なっている。余震配列から見られる断層面は10枚以上に上ることが明らかになった。また、余震の配列と発震機構も整合的である結果が得られた。