Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Poster session (Sept. 18th)

General session » S08. Earthquake Source Processes and Physics of Earthquakes

S08P

Wed. Sep 18, 2019 1:00 PM - 2:30 PM ROOM P (International Conference Halls II and III)

1:00 PM - 2:30 PM

[S08P-16] Mineral Composition and Microstructure of Host Rock and Fault Rock That Caused M5.5 Orkney Earthquake (ICDP DSeis Project)

*Yuki Yokoyama1, Tetsuro Hirono1, Hiroshi Ogasawara2, Yasuo Yabe3 (1. Osaka University, 2. Ritsumeikan University, 3. Touhoku University)

2014年8月5日、南アフリカ共和国のオークニーにて、M5.5の地震(オークニー地震)が発生した。本震の震源は地下4.7±1.2kmに位置しており(Midzi et al. 2015)、余震は地下3.5-7.0kmに分布している(Ogasawara et al. 2017)。震源域の近傍には”Moab Khotsong”鉱山(モアプ鉱山)があり、より近い位置から震源断層に向けて直接掘削が可能であることから、モアプ鉱山の地下約3kmの坑道に掘削機器を設置し、この地震発生帯に向けての掘削が2017年に実施された(ICDP DSeis Project)。
 DSeis Projectでは現在、3つの採掘孔の採掘が完了している。そのうち断層帯を貫通した採掘孔HoleBにて、断層岩および周辺の母岩より試料を採取し分析を進めているところである。現時点では、粉末X線回折(XRD)分析による構成鉱物の同定およびRock Jockプログラムによる鉱物の定量、そして二軸摩擦試験機を用いた実験が完了している。XRD分析の結果、断層岩を含む断層周囲の貫入岩にて黒雲母・滑石といった摩擦係数の低い鉱物が豊富に含まれていることが判明した。また、摩擦実験により、断層帯の試料では、他の母岩試料と比較して摩擦係数が極端に低いということも判明してる。
 本研究では、XRD-Rock Jock解析の結果の妥当性を評価するべく、薄片での光学顕微鏡観察を実施した。珪岩では、石英・長石・少量の緑泥石がRock Jock解析で検出され、また薄片でも観察できた。断層から離れた貫入岩では、緑泥石・透閃石などが薄片で観察され、これもRock Jock解析の結果と整合的である。玄武岩では、Rock Jock解析で石英・長石が多く検出されているが、薄片ではそれらの結晶は観察できなかった。玄武岩は大部分が石基になっており、顕微鏡では観察できない微細な石英・長石の結晶が石基に多量に含まれているかもしれない。断層岩および断層を含む貫入岩では、黒雲母・方解石がRock Jock解析および薄片の両方で確認できた。一方で、Rock Jock解析では検出されなかったピークの成分は普通角閃石の一種によるものであると考えられ、薄片にて角閃石が観察された。
 本研究によって、M5.5の地震を引き起こした断層および断層周辺の鉱物組成をより正確に同定することができた。ここまでの研究にて、断層岩の鉱物組成・非晶質物質量・摩擦特性と、断層岩の物理化学的性質が少しずつ明らかになってきているといえる。今後の研究展望としては、断層構成物質のさらなる精査のため、主要・微量元素分析を行い、最終的には、地震発生および滑り挙動の物質科学的な描像の理解を目指したい。