10:15 〜 10:30
[S09-04] 確率論的地震動ハザード評価における震源断層をあらかじめ特定しにくい地震のモデル改良の検討
1.はじめに
地震調査研究推進本部による全国地震動予測地図のうち、確率論的地震動予測地図では、日本周辺で発生する被害を及ぼしうる全ての地震を考慮するため、震源断層をあらかじめ特定しにくい地震がモデル化されている。震源断層をあらかじめ特定しにくい地震は、過去に発生した地震のデータ(カタログ)に基づく、地震の発生場所、規模、頻度をモデル化しており、東北地方太平洋沖地震を受けて、陸側プレートの浅い地震への大領域の導入や、最大規模の見直しなどのモデル改良が行われた。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の活発な余震活動をどのように考慮するかについて課題として残されていた。また、平成30年北海道胆振東部地震など最近発生した地震により、モデル化が不十分な部分も明らかとなった。このような状況を踏まえて、震源断層をあらかじめ特定しにくい地震のモデル改良に向けた検討を行った。
2.東北地方太平洋沖地震後の地震カタログの取り込み
東北地方太平洋沖地震の余震活動は年々減衰してきているものの、2019年3月時点では本震発生前の1.5倍程度の地震が発生している(地震調査委員会、2019)。そこで、当該震源域において本震後に発生した地震活動の減衰を改良大森公式にあてはめ、地震発生前の地震活動レベルまで減衰した時点からは定常な活動となるモデルを仮定する。
3.領域区分の追加と見直し
震源断層をあらかじめ特定しにくい地震では、海溝型地震の長期評価や地震地体構造、震央分布等に基づいて区分された領域を単位として評価する方法と、機械的に区分した東西南北0.1度のメッシュを単位として評価する方法を併用している。このうち、前者の方法における領域区分について、最近の地震による知見と「もれ」のない地震活動モデルの構築という観点から行う。
○海域における陸側プレートの浅い地震(地殻内地震)
2016年11月22日に発生した福島県沖の地震(M7.4)は、陸側プレートの地殻内地震と評価されている(地震調査委員会,2016)が、その震央位置は、現行の領域区分の外側ですべて海溝型地震とみなしていた。そこで、太平洋側の海域に新たな地殻内地震の領域区分を追加する。このとき、海域の断層および規模の大きな地震(M7程度)の地震を包含できるように沈み込む海洋プレート上面深さ10km等深線まで領域として含むようにし、東北地方だけでなく、北海道、伊豆~小笠原諸島、南海トラフ、日向灘~南西諸島にかけての領域すべてを対象として設定する。一方、日本海側については海域の領域がすでに設定されているものの、文部科学省による「海域における断層情報総合評価プロジェクト」で示されている五島列島西方沖の断層は現行の領域区分外に位置している。そこで、九州~南西諸島の西側(東シナ海)の領域について、現行領域の西側に拡張する。
○南海トラフ以西の海溝(トラフ)軸外側
千島海溝から伊豆-小笠原海溝沿いについては、海溝軸外側の地震をすでにモデル化している一方で、南海トラフおよび南西諸島海溝の海溝(トラフ)軸外側については、踏まえて、これらについても新たな領域区分を設定する。
○平成30年北海道胆振東部地震を受けて
平成30年北海道胆振東部地震は深さ約40kmで発生した。当該地域においては、深さ25kmまでは地殻内地震としてモデル化されており、それよりも深い地震はすべて深さ100km程度のスラブ内地震としてモデル化されていた。一方で、隣接する浦河沖については、1982年浦河沖地震とその余震活動を踏まえて、深さ25km~45kmの地震活動を別途にモデル化していた。北海道胆振東部地震の震源域についても浦河沖地震と同様のモデル化を行う。
地震調査研究推進本部による全国地震動予測地図のうち、確率論的地震動予測地図では、日本周辺で発生する被害を及ぼしうる全ての地震を考慮するため、震源断層をあらかじめ特定しにくい地震がモデル化されている。震源断層をあらかじめ特定しにくい地震は、過去に発生した地震のデータ(カタログ)に基づく、地震の発生場所、規模、頻度をモデル化しており、東北地方太平洋沖地震を受けて、陸側プレートの浅い地震への大領域の導入や、最大規模の見直しなどのモデル改良が行われた。しかしながら、東北地方太平洋沖地震の活発な余震活動をどのように考慮するかについて課題として残されていた。また、平成30年北海道胆振東部地震など最近発生した地震により、モデル化が不十分な部分も明らかとなった。このような状況を踏まえて、震源断層をあらかじめ特定しにくい地震のモデル改良に向けた検討を行った。
2.東北地方太平洋沖地震後の地震カタログの取り込み
東北地方太平洋沖地震の余震活動は年々減衰してきているものの、2019年3月時点では本震発生前の1.5倍程度の地震が発生している(地震調査委員会、2019)。そこで、当該震源域において本震後に発生した地震活動の減衰を改良大森公式にあてはめ、地震発生前の地震活動レベルまで減衰した時点からは定常な活動となるモデルを仮定する。
3.領域区分の追加と見直し
震源断層をあらかじめ特定しにくい地震では、海溝型地震の長期評価や地震地体構造、震央分布等に基づいて区分された領域を単位として評価する方法と、機械的に区分した東西南北0.1度のメッシュを単位として評価する方法を併用している。このうち、前者の方法における領域区分について、最近の地震による知見と「もれ」のない地震活動モデルの構築という観点から行う。
○海域における陸側プレートの浅い地震(地殻内地震)
2016年11月22日に発生した福島県沖の地震(M7.4)は、陸側プレートの地殻内地震と評価されている(地震調査委員会,2016)が、その震央位置は、現行の領域区分の外側ですべて海溝型地震とみなしていた。そこで、太平洋側の海域に新たな地殻内地震の領域区分を追加する。このとき、海域の断層および規模の大きな地震(M7程度)の地震を包含できるように沈み込む海洋プレート上面深さ10km等深線まで領域として含むようにし、東北地方だけでなく、北海道、伊豆~小笠原諸島、南海トラフ、日向灘~南西諸島にかけての領域すべてを対象として設定する。一方、日本海側については海域の領域がすでに設定されているものの、文部科学省による「海域における断層情報総合評価プロジェクト」で示されている五島列島西方沖の断層は現行の領域区分外に位置している。そこで、九州~南西諸島の西側(東シナ海)の領域について、現行領域の西側に拡張する。
○南海トラフ以西の海溝(トラフ)軸外側
千島海溝から伊豆-小笠原海溝沿いについては、海溝軸外側の地震をすでにモデル化している一方で、南海トラフおよび南西諸島海溝の海溝(トラフ)軸外側については、踏まえて、これらについても新たな領域区分を設定する。
○平成30年北海道胆振東部地震を受けて
平成30年北海道胆振東部地震は深さ約40kmで発生した。当該地域においては、深さ25kmまでは地殻内地震としてモデル化されており、それよりも深い地震はすべて深さ100km程度のスラブ内地震としてモデル化されていた。一方で、隣接する浦河沖については、1982年浦河沖地震とその余震活動を踏まえて、深さ25km~45kmの地震活動を別途にモデル化していた。北海道胆振東部地震の震源域についても浦河沖地震と同様のモデル化を行う。