日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

B会場

一般セッション » S11. 地震に伴う諸現象

[S11]PM-1

2019年9月18日(水) 15:15 〜 16:15 B会場 (国際科学イノベーション棟シンポジウムホール)

座長:古本 宗充(東濃地震科学研究所)、小村 健太朗(防災科学技術研究所)

16:00 〜 16:15

[S11-04] 地震に伴った”渦巻く雲”の実体

*榎本 祐嗣1、山辺 典昭1、杉浦 繁貴2、近藤 斎2 (1. 信州大学、2. ㈱コンポン研究所)

歴史地震史料で辿ると”渦巻く雲", ”白気立つ”など竜巻状の雲に関連すると推測される記述が多い.例えば887年五畿七道の地震では「有気,如煙非煙,如虹非虹,飛上蜀天」『三大実録』や1847年善光寺地震では,「真の闇空,飯綱山の方に火の如き雲出候間,不思議に存見つめて居り候処,其雲くるくると廻り消える否山鳴致し..」『時雨の袖』などである.史料に見られるこれらの記述に加え,最近では写真や衛星画像でも捉えられ,さまざまな観測とも関連づけられる可能性がでてきて,その実体を明らかにできる情報が揃ってきた.これらの史料の記述と最近の情報を集約して見えてきた”渦巻く雲”の実体は」次のようである.1)渦巻きながら突然空に屹立する,2)地震前後に観察されることが多い,3)雲のできる高度(約1km)から渦巻く,4)夜であれば光って見える,5)陸上に限らず海上でも発生する.以上の事実と既知の物理現象とを比較参照し,”渦巻く雲”の生成原因は,地殻の亀裂や断層に沿って浸入してきた深層流体に含まれるRn222誘起のプラズマが大気電場で加速されて上昇,”ウイルソンの霧箱”効果で雲を形成し,Kink Instability効果で渦を巻いたものと考察した.2011年東北沖地震の約10分後に生じた震源上空の電離層電子の急な濃集は、この帯電した”渦巻く雲”による静電気誘導効果の可能性がある.