Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Room A

General session » S15. Strong Ground Motion and Earthquake Disaster

[S15]AM-1

Tue. Sep 17, 2019 9:15 AM - 9:45 AM ROOM A (Clock Tower Centennial Hall)

chairperson:Takashi Furumura(Earthquake Research Institute, The University of Tokyo), Kotoyo Tsuchida(HANSHIN CONSULTANTS Co., Ltd.)

9:15 AM - 9:30 AM

[S15-19] Propagation of distinctive Love-wave pulses in continental and oceanic environment

*Takashi Furumura1, Brian LN Kennett2 (1. Earthquake Research Institute, The University of Tokyo, 2. Research School of Earth Sciences, Australian National University)

Abstract: The dispersion of Love waves traveling in low-velocity layer below the surface attenuates and elongates the wave shape with distances. However, in a typical continental structure, the group velocity of the Love wave becomes nearly constant in period 10-20 sec., leading to pulses of Love-waves over a distance of several hundred kilometers. A similar phenomenon in the much longer-period band (50-400 s) was called the G-wave by Gutenberg. In this study we examined the generation and propagation of Love-wave pulses observed from regional to teleseismic distances in continental and oceanic structure based on the analysis of observed broadband record and numerical simulation of wave propagation.

1.大陸構造とLove波の伝播特性
地表下の低速度層内を伝わるLove波は、伝播につれて分散により波群が長くそして振幅が小さくなる。ところが、一定の堆積層を有する大陸構造では、周期10-20秒にLove波の群速度が一定となる周期帯があり、パルス状のLove波が大きな振幅を保ちながら遠地まで伝播することができる(Furumura and Kennett, 2001;河本, 2017)が、海域経路では分散を起こして減衰する。同様の大振幅Love波パルスは、より長周期帯(50秒〜400秒)でも見られ、GutenbergによりG波と名付けられている。G波は、大陸構造より海域構造のほうが分散が少ない。本研究では、これらLove波パルスの大陸地殻ないし海域構造における伝播特性を、広帯域観測データ解析と地震波伝播シミュレーションにより評価する。

2.近地で見られる15秒Love波パルス
2016年鳥取県中部地震(Mw6.2;深さ8 km)では、横ずれ断層の走行とその直交方向に周期15秒のLove波パルスが強く生成・伝播した(図a-STM)。九州のF-net STM観測点への中間地点(図A)の1次元速度構造(JIVSM;Koketsu, 2012)を用いてLove波の分散曲線を計算すると、周期15秒前後でLove波の基本モードの群速度が一定(u=3.2 km/s)となり、パルス状のLove波が生成することがわかる。こうした特徴はRayleigh波の分散曲線には見られない。また、Love波パルスの位相速度(c=3.6 km/s)は群速度よりずっと大きいために、パルス形状(位相)をサイクリックに変化させながら伝播することが、近地波動場のレコードセクションや地震波伝播シミュレーションから確認できる。一方、地殻が薄く(<20 km)、堆積層が厚い日本海沿岸を伝播経路とする佐渡(ADM)観測点ではLove波パルスは見られず、振幅の小さな分散波形を示している(図b)。

3.遠地で見られる40〜300秒Love波パルス(G波)
より地震規模の大きな(Mw9.0)2011年東北地方太平洋沖地震(深さ24 km)の震源からは、Love波の放射の強い西南西方向の本州〜九州〜南西諸島にかけて、長周期(50〜100秒)のLove波パルス(G波)の伝播が認められる(図c-ABU)。しかし、北海道(図d-NKG)では伝播経路の海域構造や石狩低地帯の厚い堆積層により長周期Love波パルスは分散を起こして崩れ、振幅が小さい。さらに遠地のIRIS 広帯域観測記録を調べると、震源距離とともにG波の卓越周期は長くなり、たとえばニュージーランド(図e-SNZO; 9,400 km)では周期100秒のG波が0.8 cmの振幅で記録されている。地殻が薄い海洋構造では、大陸構造よりも広い周期帯域(40〜300秒)でG波が生成され、また群速度が位相速度に近い値を持つために、パルス形状(位相)を保ったまま、遠地まで伝播することができる。そして、対蹠点あるいは震央を通過する毎にPolar phase shiftにより位相が90度進む。