Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Poster session (Sept. 17th)

General session » S17. Tsunami

S17P

Tue. Sep 17, 2019 5:00 PM - 6:30 PM ROOM P (International Conference Halls II and III)

5:00 PM - 6:30 PM

[S17P-07] Far-field Tsunami Decay Processes in the Cases of North Pacific Ocean

*Takeyasu Yamamoto1 (1. Meteorological Research Institute)

山本・他(2018、JpGU)は、南米チリ及びペルー沿岸を波源とし日本に到達した遠地津波の振幅時間変化について、林・他(2010)によるMRMS振幅を用いて調査した結果、第1波到達時刻から12時間後まで(初期部)の津波振幅の増加・減少の様相がチリ中部沿岸とチリ北部沿岸・ペルー沿岸とで異なる一方、12時間後以降(後期部)の減衰の様相は両者似通っていて、その大きさは地震のマグニチュードと相関があることを示した。次に山本(2018、地震学会)は、南太平洋西部を波源とする場合について同様の調査を行い、初期部の様相が、サンタクルーズ諸島付近がチリ中部沿岸型、サモア諸島付近がペルー沿岸型に似ており、パプア・ニューギニア北部沿岸は異なること、後期部の様相は南米沖の事例と概ね整合することを示した。しかし、後期部の減衰過程における津波振幅と地震のマグニチュードとの関係については、調査対象とした地震の大半がMw7.0~8.4の範囲で、2010年チリ中部沿岸(Mw8.8、ここまでMwはGCMTによる)や1960年のチリ地震(Mw9.5)との間が空いていること、他の海域を波源とする事例について明らかでないことが課題であった。そこで、北太平洋を波源とする巨大地震津波を対象として津波振幅の増加・減少の様相を調査した。
調査の対象とした地震津波は、1952年カムチャツカ半島(Mw9.0)、1957年アリューシャン・アンドレアノフ諸島(Mw8.6)、1964年アラスカ(Mw9.2)、1965年アリューシャン・ラット諸島(Mw8.7)の4例である(MwはUSGSのまとめによる)。花咲、函館、宮古、小名浜、高知における地震後5~7日間程度の検潮記録から1分間隔の読取値を用い、これまでの調査と同じく時間幅64分のMRMS振幅を計算した。ただし、1957年の事例については、対象期間中の背景潮位変動が大きく、増加・減衰過程を十分に明らかにできなかったため、以下の検討対象からは外した。
南米沖及び南太平洋西部を波源とする津波のMRMS振幅変化の様相が第1波到達から数時間のうちに最大値となって減衰過程に移行していくのと異なり、北太平洋を波源とする津波のMRMS振幅は、ゆっくりと増加して突出した最大を示さない状態が第1波到達から12時間以上継続した後、減衰していく。特に、1964年アラスカの事例では第1波到達から48時間後近くまで高い状態が継続してからようやく減衰していくように見える。1964年アラスカについては、Hatori (1965)が日本における最初の48時間の検潮データから減衰が極めて小さいと述べ、Van Dorn (1984)が北東太平洋の検潮データから初期部の変化が他の事例と比べて特異だとしている。Van Dorn (1984)はまた40時間程度経過後の減衰が他の事例と大きな違いはないことを示している。日本の検潮データからは減衰開始後、背景潮位変動を上回っている期間が短いため定量評価は難しいが、2010年チリ中部沿岸とほぼ同程度の推移を示す。
地震のマグニチュードと減衰後期部の津波振幅の大きさとの関係について、1952年カムチャツカは南米沖波源から求めた傾向と整合するが、1965年アリューシャン・ラット諸島はやや小さめである。1964年アラスカもそのMwに比して小さくなることに相当するが、Van Dorn (1984)が北東太平洋の検潮データから求めたtsunami energy indexでも1964年アラスカの方が1952年カムチャツカ半島より小さいことから、一般的な傾向かもしれない。