16:30 〜 16:45
[S19-01] 特定非営利活動法人 大規模災害対策研究機構(CDR)の防災対策研究の取り組みについて
まえがき
東海・東南海・南海地震など大規模災害の発生が危惧され、危機管理の重要性が訴えられている。安全で持続的な地域社会を形成していくためにも、日頃より災害対策情報を知り、予防策をとると同時に、情報ネットワークを構築する必要がある。
そこで、大規模災害によって広域的な発生が予想される人的・物的被害を軽減することを目的として、河田惠昭教授(関西大学社会安全研究センター長、特別任命教授、京都大学名誉教授)らが平成9年に「任意団体 東海・東南海・南海地震津波研究会(以下「研究会」という)」を、平成18年に「特定非営利活動法人 大規模災害対策研究機構(CDR)(以下「CDR」という)」を設立した。
ここでは、このCDR活動の概要を紹介する。そして、大規模災害対策研究に関わる多くの研究者や実務担当者の方に参加していただき、共に我が国の自然災害に対する防護力の向上を目指すものである。
1.研究会および研究機構の設立経緯
1.1. 研究会の発足
南海トラフでは100~150年周期でM8以上の巨大地震と津波災害が必ず発生しており、近い将来かならず次の巨大地震が起こると予測されている。そこで、広域的な人的・物的被害を軽減することを目的として、太平洋沿岸地域の津波防災などをテーマに、官・民・学が継続的に情報や意見交換、さらには相互啓発できる場を提供して、国民の防災意識の向上と同地域の津波防災への寄与を図るために、平成9年7月に「任意団体東海・東南海・南海地震津波研究会」を発足させた。
発足に際しては、中央防災会議において東海地震や東南海・南海地震に関する専門調査会を立ち上げる4年も前に、河田が南海トラフ巨大地震津波による広域かつ大規模災害のメカニズムや被害シナリオ、その対策に対する研究の必要性を訴え、地震津波研究のトップレベルの研究者、国、自治体の行政機関の要職の方々とともに、国、自治体、教育・研究機関、ゼネコン、建設コンサルタント、ライフライン企業等から構成する研究会を立ち上げた。
1.2. CDRへの移行
平成18年4月に、従来の活動基盤をさらに充実させ、関連学会、研究機関、行政などの公的機関との連携・協力体制の構築を目指すとともに、災害予防および発生時の減災、救援対策について、各方面への情報発信を行うことを目的として、「特定非営利活動法人 大規模災害対策研究機構(CDR)」に移行した。なお、研究会は「任意団体」として継続させ、行政機関が研究活動に参加しやすいようにした。
2.活動概要
主な年間行事は以下の通りである。
(1)企画委員会と理事会・総会
(2)大規模災害対策に関する現地調査(日本全国で実施)
調査の一例:①歴史地震や津波に関する痕跡、行政・民間企業による対策、復興状況調査(北海道南西沖地震津波(1993)、明治・昭和三陸津波(1896、1933)、宝永・安政・昭和東南海・南海地震津波(1707、1854、1944、1946)、新潟県中越大震災(2004)、東日本大震災(2011)、熊本地震(2016))、②火山災害(有珠山噴火(2003)、雲仙普賢岳噴火(1991))、③高潮(佐渡島寄り回り波(2008)、八代海高潮(1999)、大阪湾高潮(2018))、等
(4)大規模災害対策セミナー
一般国民向けに、国内外で発生した地震、津波、高潮、洪水、土砂災害等の発生メカニズムや被害予測等を解説、被害軽減・抑止対策の計画、実施状況等の紹介、地元行政機関や住民等立場が変わることによる問題点や課題、対処方法の違いについても紹介。
(5)ワーキンググループ活動(大阪市域における津波危険度と津波対策に関する研究、他)
(6)研究会
「東海・東南海・南海地震津波」をメインテーマとし、行政および企業の防災担当者向けに、より専門性の高いセミナーを開催。
3.CDR活動がもたらすメリット
研究活動を通じて得られるメリットは以下の通り。
①我が国の防災研究の名だたる研究者や国土交通省や内閣府、自治体の防災のトップの方々と面識ができ、事業協力や研究協力につながる。
②防災に関する先進の研究成果、対策事例に関する一般では入手困難な情報が入手可能。また、非公開の現場や施設内でも特別に立ち入りが許可され、説明を受けられる。
③中央省庁や学会、委員会に委員やオブザーバーとして参画できる。
4.あとがき
長きにわたる研究活動を通じて、①災害現場、復旧復興状況を直に見て、聞くこと、②最新の研究成果、行政機関等の取り組みを聞き、学び、発展させること、③様々な業種、立場の人たちと交流をもち、多種多様なものの見方を学ぶこと、等の重要性を感じており、一人でも多くの命を救えるよう使命感をもって活動を続けていく所存である。
最後に、是非とも多くの研究者、実務担当者の方々にもご参加いただき、我が国の防災研究、防災事業への貢献にご協力を賜りたい。
東海・東南海・南海地震など大規模災害の発生が危惧され、危機管理の重要性が訴えられている。安全で持続的な地域社会を形成していくためにも、日頃より災害対策情報を知り、予防策をとると同時に、情報ネットワークを構築する必要がある。
そこで、大規模災害によって広域的な発生が予想される人的・物的被害を軽減することを目的として、河田惠昭教授(関西大学社会安全研究センター長、特別任命教授、京都大学名誉教授)らが平成9年に「任意団体 東海・東南海・南海地震津波研究会(以下「研究会」という)」を、平成18年に「特定非営利活動法人 大規模災害対策研究機構(CDR)(以下「CDR」という)」を設立した。
ここでは、このCDR活動の概要を紹介する。そして、大規模災害対策研究に関わる多くの研究者や実務担当者の方に参加していただき、共に我が国の自然災害に対する防護力の向上を目指すものである。
1.研究会および研究機構の設立経緯
1.1. 研究会の発足
南海トラフでは100~150年周期でM8以上の巨大地震と津波災害が必ず発生しており、近い将来かならず次の巨大地震が起こると予測されている。そこで、広域的な人的・物的被害を軽減することを目的として、太平洋沿岸地域の津波防災などをテーマに、官・民・学が継続的に情報や意見交換、さらには相互啓発できる場を提供して、国民の防災意識の向上と同地域の津波防災への寄与を図るために、平成9年7月に「任意団体東海・東南海・南海地震津波研究会」を発足させた。
発足に際しては、中央防災会議において東海地震や東南海・南海地震に関する専門調査会を立ち上げる4年も前に、河田が南海トラフ巨大地震津波による広域かつ大規模災害のメカニズムや被害シナリオ、その対策に対する研究の必要性を訴え、地震津波研究のトップレベルの研究者、国、自治体の行政機関の要職の方々とともに、国、自治体、教育・研究機関、ゼネコン、建設コンサルタント、ライフライン企業等から構成する研究会を立ち上げた。
1.2. CDRへの移行
平成18年4月に、従来の活動基盤をさらに充実させ、関連学会、研究機関、行政などの公的機関との連携・協力体制の構築を目指すとともに、災害予防および発生時の減災、救援対策について、各方面への情報発信を行うことを目的として、「特定非営利活動法人 大規模災害対策研究機構(CDR)」に移行した。なお、研究会は「任意団体」として継続させ、行政機関が研究活動に参加しやすいようにした。
2.活動概要
主な年間行事は以下の通りである。
(1)企画委員会と理事会・総会
(2)大規模災害対策に関する現地調査(日本全国で実施)
調査の一例:①歴史地震や津波に関する痕跡、行政・民間企業による対策、復興状況調査(北海道南西沖地震津波(1993)、明治・昭和三陸津波(1896、1933)、宝永・安政・昭和東南海・南海地震津波(1707、1854、1944、1946)、新潟県中越大震災(2004)、東日本大震災(2011)、熊本地震(2016))、②火山災害(有珠山噴火(2003)、雲仙普賢岳噴火(1991))、③高潮(佐渡島寄り回り波(2008)、八代海高潮(1999)、大阪湾高潮(2018))、等
(4)大規模災害対策セミナー
一般国民向けに、国内外で発生した地震、津波、高潮、洪水、土砂災害等の発生メカニズムや被害予測等を解説、被害軽減・抑止対策の計画、実施状況等の紹介、地元行政機関や住民等立場が変わることによる問題点や課題、対処方法の違いについても紹介。
(5)ワーキンググループ活動(大阪市域における津波危険度と津波対策に関する研究、他)
(6)研究会
「東海・東南海・南海地震津波」をメインテーマとし、行政および企業の防災担当者向けに、より専門性の高いセミナーを開催。
3.CDR活動がもたらすメリット
研究活動を通じて得られるメリットは以下の通り。
①我が国の防災研究の名だたる研究者や国土交通省や内閣府、自治体の防災のトップの方々と面識ができ、事業協力や研究協力につながる。
②防災に関する先進の研究成果、対策事例に関する一般では入手困難な情報が入手可能。また、非公開の現場や施設内でも特別に立ち入りが許可され、説明を受けられる。
③中央省庁や学会、委員会に委員やオブザーバーとして参画できる。
4.あとがき
長きにわたる研究活動を通じて、①災害現場、復旧復興状況を直に見て、聞くこと、②最新の研究成果、行政機関等の取り組みを聞き、学び、発展させること、③様々な業種、立場の人たちと交流をもち、多種多様なものの見方を学ぶこと、等の重要性を感じており、一人でも多くの命を救えるよう使命感をもって活動を続けていく所存である。
最後に、是非とも多くの研究者、実務担当者の方々にもご参加いただき、我が国の防災研究、防災事業への貢献にご協力を賜りたい。