3:30 PM - 3:45 PM
[S24-08] The relationship between 2019 Off the coast of Yamagata prefecture earthquake and 1964 Niigata earthquake
2019年6月18日に山形県沖でMj6.7の地震が発生した。今回の地震の震源域は1964年6月16日に発生した新潟地震(Mj7.5)の震源域に隣接しているものの、新潟地震直後の余震活動はほとんど起きておらず(地震調査委員会, 2019)、また近年の地震活動度も極めて低調な領域である。この観測事実は、山形県沖地震発生域は新潟地震によって破壊されなかったことを示唆するが、その原因は明らかにされていない。これら2つの領域の関係性を理解するため、本研究では2つの領域の地震波速度構造と地震活動の特徴に注目して比較・検討を行った。
山形県沖地震及び新潟地震の発生域を、Matsubara et al. (2017)によって得られた地震波速度構造(防災科学技術研究所により公開)と比較した。その結果、山形県沖地震発生域は、新潟地震発生域と比べ、Vp及びVp/Vs比がともに低い値を示すことがわかった。
次に山形県沖地震発生域を含む低速度領域及び新潟地震発生域を含む高速度領域の地震活動のb値の推定を行なった(Wiemer and Wyss, 2000)。1998年1月1日から2019年6月30日までの気象庁一元化処理震源カタログ(Mc1.3)において、低速度領域の方がb値が有意に低いことがわかった。
最後に、地震活動の数理モデルの1つである時空間ETAS(Epidemic Type Aftershock Sequence)モデル(e.g., Ogata, 1998)の各パラメータの空間依存性を考慮したHIST(HIerachical Space Time)-ETASモデル(e.g., Ogata, 2004)を用いて、1998年以降の地震活動(Mc1.3)に対して、背景地震活動度μ、大森―宇津則のパラメータ(K, p)の空間分布の推定を行なった。その結果、低速度領域は高速度領域と比べて、μ、K、pの値が低いことがわかった。
地震波速度や地震活動の表す主要なパラメータが2つの領域において異なることから、山形県沖地震発生域と新潟地震発生域は構造や岩石組成が異なると考えられる。上記の構造や岩石組成の違いが新潟地震発生時において山形県沖地震発生域に破壊が進展しなかった原因の1つと考えられる。山形県沖地震発生域でb値が低いのは、破壊はしなかったが、新潟地震によって応力が載荷されたことで差応力が相対的に大きくなっていると解釈できる。p値はMikumo and Miyatake (1979)やUtsu (1961)で断層強度の不均質の度合いとして解釈されており、より不均質だとp値が低くなる。山形県沖地震発生域の方がp値が低いことから、この領域は新潟地震発生域と比べ、微小な断層面やクラックが周囲よりも多く発達していると解釈できる。この結果はVpの違いとも整合的である。
山形県沖地震及び新潟地震の発生域を、Matsubara et al. (2017)によって得られた地震波速度構造(防災科学技術研究所により公開)と比較した。その結果、山形県沖地震発生域は、新潟地震発生域と比べ、Vp及びVp/Vs比がともに低い値を示すことがわかった。
次に山形県沖地震発生域を含む低速度領域及び新潟地震発生域を含む高速度領域の地震活動のb値の推定を行なった(Wiemer and Wyss, 2000)。1998年1月1日から2019年6月30日までの気象庁一元化処理震源カタログ(Mc1.3)において、低速度領域の方がb値が有意に低いことがわかった。
最後に、地震活動の数理モデルの1つである時空間ETAS(Epidemic Type Aftershock Sequence)モデル(e.g., Ogata, 1998)の各パラメータの空間依存性を考慮したHIST(HIerachical Space Time)-ETASモデル(e.g., Ogata, 2004)を用いて、1998年以降の地震活動(Mc1.3)に対して、背景地震活動度μ、大森―宇津則のパラメータ(K, p)の空間分布の推定を行なった。その結果、低速度領域は高速度領域と比べて、μ、K、pの値が低いことがわかった。
地震波速度や地震活動の表す主要なパラメータが2つの領域において異なることから、山形県沖地震発生域と新潟地震発生域は構造や岩石組成が異なると考えられる。上記の構造や岩石組成の違いが新潟地震発生時において山形県沖地震発生域に破壊が進展しなかった原因の1つと考えられる。山形県沖地震発生域でb値が低いのは、破壊はしなかったが、新潟地震によって応力が載荷されたことで差応力が相対的に大きくなっていると解釈できる。p値はMikumo and Miyatake (1979)やUtsu (1961)で断層強度の不均質の度合いとして解釈されており、より不均質だとp値が低くなる。山形県沖地震発生域の方がp値が低いことから、この領域は新潟地震発生域と比べ、微小な断層面やクラックが周囲よりも多く発達していると解釈できる。この結果はVpの違いとも整合的である。