The 2021 SSJ Fall Meeting

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Room B

Regular session » S08. Earthquake physics

PM-1

Fri. Oct 15, 2021 1:30 PM - 3:00 PM ROOM B (ROOM B)

chairperson:Takehito Suzuki(Aoyama Gakuin University), Junichi Nakajima(Tokyo Institute of Technology)

2:00 PM - 2:15 PM

[S08-14] Longer than One-year Afterslip due to the 2016 Moderate Earthquakes along Chaman Fault: Noncomplementary Co- and Post-seismic Slip Distribution

〇Masato FURUYA1, Fumiko Matsumoto2 (1.Department of Earth and Planetary Sciences, Faculty of Science, Hokkaido University, 2.PASCO)

チャマン断層は、インドプレート西部とユーラシアプレートの境界にあたる長さ900km以上の左横ずれ断層であり、地質学的に予想されるプレート間相対運動は~2cm/年程度である.この断層は歴史的に見ても地震活動が低いことが知られており、固着しているかあるいはクリープしているのではないかと考えられてきた(Ambraseys and Bilham 2003).陸上観測点は依然として少なく,InSARを用いてクリープ域と固着域のマッピングが報告されている(Fattahi and Amelung 2016; Barnhalt 2016).一方,Furuya and Satyabala (2008)は、2005年に発生したM5の地震が非常に長く広い範囲でのAfterslipを起こしていたことを報告した.この2005年のM5地震以来、大きな地震は発生していなかったが,2016年5月と7月にM5クラスの地震が南西方向に100km以上離れた断層沿いで発生した.
 2016年地震の地震前および地震時、地震後の地殻変動をESAのSentinel-1衛星のInSARデータを用いて調べたところ、震源近傍での地震前の地表付近のクリープ運動は存在していなかった.地震時地震後の地殻変動は明瞭で,特に2016年7月のmb4.7に伴う地殻変動は,Furuya and Satyabala (2008)で報告した変動とよく似ている.
 得られた地震時地震後のInSARデータを元に、カルマンフィルタ~に基づいたいわゆる「時間依存滑りインバージョン」(Segall and Matthews 1997)を行って、滑り分布と滑り速度分布を推定した.空間方向と時間方向の二つのハイパーパラメータは、Miyazaki et al (2006)に倣ってトレードオフから決定した.
 推定された滑り分布(滑り速度分布)で最も特徴的なことは、一年以上続いた地震後滑りが地震時滑りの空間分布と「相補的ではない」ことである.従来から報告されているM>6地震に伴うAfterslipは,ほぼ例外なく地震後滑りは地震時滑りの外側で起こっている(e.g., Miyazaki et al., 2004; Hsu et al., 2006; Barbot et al., 2009).我々の推定でも浅部での地震後滑りはゼロではないが,最も顕著に滑るパッチは明らかに地震時滑りが最大のパッチである.
 この結果をRate-and-state friction (RSF) lawの枠組みで解釈するためには,(a-b)の「滑り速度依存性」(e.g., Shimamoto 1986)が必要である.この滑り速度依存性はSlow slip event (SSE)のモデリングでもしばしば要請されている(e.g., Shibazaki and Iio 2003, Im et al 2020).SSEは”静かに"滑り始めるように見えるため地震時滑りは無視されることが多いが,Ide et al (2007)が示したようにゼロではない.チャマン断層の中規模地震(とその地震後滑り)はNon-silent SSEと言えるかもしれない.
 有効法線応力の動的な変化など(e.g., Suzuki and Yamashita 2009, Segall et al 2010)のRSF則の摩擦パラメータの調整以外の解釈もあり得る.