3:30 PM - 5:00 PM
[S08P-16] Frictional properties of metagabbro gouge in centimeter scale
-Toward understanding scale dependence of rock friction-
断層破壊シミュレーションやサイクルシミュレーションを実施するにあたり,センチメートルスケールの試料が示す摩擦特性は実大断層スケールにおいても同等であると暗に仮定されている.しかしながら,それが真に有効であるかはまだ不明な点が多い.この観点からYamashita et al. (2015, Nature)は,メートルスケールの変はんれい岩試料を用いた摩擦実験をおこない,定常摩擦係数の仕事率(せん断応力とすべり速度の積)依存性がセンチメートルスケールとは明確に異なることを明らかにした.彼らはさらにその原因が摩擦すべりにともない自発的に発生・成長する力学的不均質にあることを示したが,その実験は岩石同士を直接接触させた状態で行われており,自然断層と同様にガウジを含んだ断層の摩擦特性がスケールに依存するか否かは明らかではない.そこで著者らは断層摩擦特性のスケール依存性の解明に向けて様々なスケールにおけるガウジ摩擦実験を実施しており,本講演ではセンチメートルスケールにおける実験結果について報告する.
山下他(2020,地震学会)及び下田他(2020,地震学会)によるメートルスケールのガウジ摩擦実験結果と比較するため,同様にジェットミルにより粉砕した変はんれい岩の粉末粒子(平均粒径10 µm,最大粒径200 µm)を模擬ガウジとして用い,加圧前のガウジ層圧を3 mmとした.実験は電力中央研究所が所有する二軸摩擦試験機(Mizoguchi et al., 2021, EPS)により実施した.模擬断層面は長さ10 cm,幅5 cmである.実験中の垂直応力はメートルスケール実験と同様に3.4 MPaもしくは6.7 MPaの一定に保った.10分間加圧をした後,10 µm/sで4 mm変位させ,0.1-1.0-10.0-100.0 µm/sの速度ステップを3セット与えた.各速度での変位量は100.0 µm/sにおける1.0 mmを除き0.5 mmとした.速度ステップに応じた摩擦係数の変化が速度-状態依存摩擦則(以下RSF則)に従うと仮定し,各パラメタの推定をおこなった.摩擦データへのフィッティングにはSkarbek and Savage (2019, Geosphere)によるプログラムを利用した.下田他(2020,地震学会)の推定結果と比較するため,同様に速度低下時の応答にSlip law (Ruina, 1983, JGR)をフィッティングさせた.
得られたRSF則パラメタのうち,累積変位量が9.5 mmでのb-a及びDcはどちらの垂直応力下でもそれぞれ1 × 10-3,10 µmのオーダーとなった.これらの値は下田他(2020,地震学会)による推定結果と調和的である.このことから,比較的均質なガウジ層におけるRSF摩擦特性はスケールによって明確な違いを示さないことが示唆された.Yamashita et al. (2015, Nature)で確認されたようなスケール依存性が見られなかった理由として,ガウジ層がすべりに伴う力学的不均質の発生・成長を抑制したことが考えられる.今後,実験後に採取したガウジサンプルの観察等を通し,この仮説の検証をおこなっていく予定である.
山下他(2020,地震学会)及び下田他(2020,地震学会)によるメートルスケールのガウジ摩擦実験結果と比較するため,同様にジェットミルにより粉砕した変はんれい岩の粉末粒子(平均粒径10 µm,最大粒径200 µm)を模擬ガウジとして用い,加圧前のガウジ層圧を3 mmとした.実験は電力中央研究所が所有する二軸摩擦試験機(Mizoguchi et al., 2021, EPS)により実施した.模擬断層面は長さ10 cm,幅5 cmである.実験中の垂直応力はメートルスケール実験と同様に3.4 MPaもしくは6.7 MPaの一定に保った.10分間加圧をした後,10 µm/sで4 mm変位させ,0.1-1.0-10.0-100.0 µm/sの速度ステップを3セット与えた.各速度での変位量は100.0 µm/sにおける1.0 mmを除き0.5 mmとした.速度ステップに応じた摩擦係数の変化が速度-状態依存摩擦則(以下RSF則)に従うと仮定し,各パラメタの推定をおこなった.摩擦データへのフィッティングにはSkarbek and Savage (2019, Geosphere)によるプログラムを利用した.下田他(2020,地震学会)の推定結果と比較するため,同様に速度低下時の応答にSlip law (Ruina, 1983, JGR)をフィッティングさせた.
得られたRSF則パラメタのうち,累積変位量が9.5 mmでのb-a及びDcはどちらの垂直応力下でもそれぞれ1 × 10-3,10 µmのオーダーとなった.これらの値は下田他(2020,地震学会)による推定結果と調和的である.このことから,比較的均質なガウジ層におけるRSF摩擦特性はスケールによって明確な違いを示さないことが示唆された.Yamashita et al. (2015, Nature)で確認されたようなスケール依存性が見られなかった理由として,ガウジ層がすべりに伴う力学的不均質の発生・成長を抑制したことが考えられる.今後,実験後に採取したガウジサンプルの観察等を通し,この仮説の検証をおこなっていく予定である.