10:45 AM - 11:00 AM
[S01-05] Parameter optimization of non-linear modellings with a surrogate function: Application to waveform inversions
波形インバージョンなど地震学に用いられているモデルパラメターの推定において、最近では非線形性が高く複雑な問題を対象とする場合が多い。ローカルな極小値への収束や遅い収束速度を避けるための初期値の選択など、他分野でも様々な手法の提案がなされてきた(e.g., Wienerフィルタを介した波形や相互相関の最適化)。音源などの複雑な信号処理では、最適化への尤度関数から直接モデルパラメターを推定するのではなく、単純な代理関数(surrogate function)を導入し、これを反復操作で最適化する過程で安定したパラメター推定が可能となる方法が利用されている。さらに、従来の推定法は単一の事象の場合には有効だが、複数の事象が混在しているデータ(例:複数のガウス分布が重なると混合ガウス分布となる(Fig. 1))では、これを直接の最適化の関数とすると、非効率で不安定な解法となってしまう。そのような場合、EMアルゴリズムと呼ばれる手法より、単純な反復操作の繰り返しで安定して各現象のパラメターが推定できる。地震学で類似の問題としては、複数の震源からの波形データや後続の散乱波が大きく複雑な場合などに当たる。本研究では、これらの他分野で発展中の手法を検討し、波形インバージョンなど地震学への応用を考察する。
複数の現象が混在したデータに対しては、各現象の確率密度関数pdfは重みalpha付きガウス分布(平均muと標準偏差sigma)の簡単な和である、式(1)やFig.1で表される(thetaはmuなどの推定すべきパラメター群とする)。これが最大となるようなthetaを求めるには、直接の計算は困難なので、従来は選んだ初期値からのTaylor展開での線形化により反復操作で求めた。これに対して、EMアルゴリズムではJensenの不等式(f は一般の凸関数、式(2))より、潜在変数z を介して、式(3)の右辺で尤度関数を代用する。ここで、lambdaを反復操作におけるk 番目ステップのパラメター推定値theta (k)とした元の変数x の条件付きpdfとおくと、式(4)となる。さらに、theta = theta (k)の場合に等号となるので、右辺g(theta)が最大となるthetaを求め、それをtheta (k+1)として更新すれば良い。このような反復操作によって、最適な推定値が安定して得られる(Fig. 2)。式(4)は元のpdfである式(1)に比べて、容易に最適化が求められる形式を選ぶことができる点が重要である。式(4)の被積分関数内のlog関数の分子のみthetaが含まれるので、実際にはこの部分を代理関数Qとして、これを各ステップで最大となるthetaを探索する。
混合ガウス分布の場合、各データが独立に生成されたと仮定できれば、j 番目のガウス分布が生成される事前確率をalphaj とすると、式(4)のうち、最適化すべき代理関数は式(5)となる。これをalpha, mu, sigmaでの偏微分がゼロとして、k番目のステップの各パラメターが解析的に求まるので、十分に収束するまで単純に反復操作すれば良い。
代理関数を規定するJensenの不等式は、逆函数についての式(6)や対数関数に対する式(7)など様々な例がある。これらを活用すると、ガウス分布のみならず、一般のpdfの形式に適用できる。例えば、L1ノルム最小に対応する、平均の両側が指数関数的に減少するラプラス分布でも、式(5)と同様な定式化が可能となる。よって、波形インバージョンだけでなく、エンベロープや多次元のスペクトルグラム、f-kダイヤグラム等、地震学で広い応用が可能である。
複数の現象が混在したデータに対しては、各現象の確率密度関数pdfは重みalpha付きガウス分布(平均muと標準偏差sigma)の簡単な和である、式(1)やFig.1で表される(thetaはmuなどの推定すべきパラメター群とする)。これが最大となるようなthetaを求めるには、直接の計算は困難なので、従来は選んだ初期値からのTaylor展開での線形化により反復操作で求めた。これに対して、EMアルゴリズムではJensenの不等式(f は一般の凸関数、式(2))より、潜在変数z を介して、式(3)の右辺で尤度関数を代用する。ここで、lambdaを反復操作におけるk 番目ステップのパラメター推定値theta (k)とした元の変数x の条件付きpdfとおくと、式(4)となる。さらに、theta = theta (k)の場合に等号となるので、右辺g(theta)が最大となるthetaを求め、それをtheta (k+1)として更新すれば良い。このような反復操作によって、最適な推定値が安定して得られる(Fig. 2)。式(4)は元のpdfである式(1)に比べて、容易に最適化が求められる形式を選ぶことができる点が重要である。式(4)の被積分関数内のlog関数の分子のみthetaが含まれるので、実際にはこの部分を代理関数Qとして、これを各ステップで最大となるthetaを探索する。
混合ガウス分布の場合、各データが独立に生成されたと仮定できれば、j 番目のガウス分布が生成される事前確率をalphaj とすると、式(4)のうち、最適化すべき代理関数は式(5)となる。これをalpha, mu, sigmaでの偏微分がゼロとして、k番目のステップの各パラメターが解析的に求まるので、十分に収束するまで単純に反復操作すれば良い。
代理関数を規定するJensenの不等式は、逆函数についての式(6)や対数関数に対する式(7)など様々な例がある。これらを活用すると、ガウス分布のみならず、一般のpdfの形式に適用できる。例えば、L1ノルム最小に対応する、平均の両側が指数関数的に減少するラプラス分布でも、式(5)と同様な定式化が可能となる。よって、波形インバージョンだけでなく、エンベロープや多次元のスペクトルグラム、f-kダイヤグラム等、地震学で広い応用が可能である。