The 2022 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S01. Theory and analysis method

[S01] AM-2

Tue. Oct 25, 2022 11:15 AM - 12:30 PM ROOM C (8th floor (Training Room 820))

chairperson:Hisashi NAKAHARA(Graduate School of Science, Tohoku University), Daisuke Sato(DPRI, Kyoto University)

11:30 AM - 11:45 AM

[S01-07] Accuracy evaluation of the approximation of spatiotemporal boundary integral equation toward implementation of FDP-H matrices

*Takumi Miyajima1, Ryosuke Ando1 (1. The University of Tokyo)

1.はじめに
時空間領域に関する境界積分方程式法を解くためには、境界要素数N,時間ステップ数をMとして、積分核と滑り速度の畳み込みを愚直に計算するとO(N2M2)の計算量とO(N2M)のメモリを使用することになる。我々は、巨大地震の導でき破壊シミュレーションを高効率に行うため、Sato and Ando(2021)で構築されたFDP=H行列法を3次元問題に拡張するとともに、大規模並列計算に対応した実装とするためのコード開発を行なっている。FDP=H行列法とは、既存のFDP法(高速領域分割法, Ando(2016))で積分核の性質ごとにドメインを分割し、走時近似(Averaged Reduced Time: ART)によって時空間畳み込み積分を近似的に実行してH行列法を取り入れ、一部には量子化などの近似を用いる工夫を行うことで、O(NlogN)の計算量を達成するものである。今回は、3次元モデルを用いてFDP=H行列法で考慮する近似計算のうち、H行列の近似以外の部分を実装したため、その精度評価を行なった。

2. 手法
FDP法によって、積分核の因果律円錐はP波,S波の前線のDomain Fp, Domain Fsと、P波の到着後S波の到着までのDomain I, S波が過ぎ去ったあとのDomain Sの3つに分割される。
Domain Fは時間幅がO(1)であり、グリーン関数の性質から応力核を時間方向に積分すると空間依存性の強い項と弱い項に分離できると考えられる。Domain Iは時間幅が広いため、応力核を時間方向にリサンプリングする量子化を行い、計算量やメモリを削減する近似を行う。H行列への実装を見越して、滑り速度の累積和(滑り)の差と積分核の積の形から、滑り速度の累積和と積分核の差の積の形に式変形を行なった。
Domain Sは応力核が時間変化しない性質をもつ。本来は全ドメインに対して、空間依存の応力核行列の距離減衰の性質を用いたH行列近似を行うが、今回はH行列における分割を想定し、実空間のx,y,z各軸方向に数等分の分割を行い、各クラスターの重心を観測点の代表とみなして走時の近似を行うARTの実装のみ行なった。精度評価のための問題設定は次のようなものである。まず、断層形状モデルとして、3枚の断層面を平行に配置したものを仮定する。次に、1つの断層の中央付近を一定の時間滑らせ、周囲の断層面上での応力変化を計算する。さらに、応力の時空間変化について、厳密に計算した場合と金次計算した場合をそれぞれのドメインごとに比較して、近似精度を評価する。

3. 予備的結果
手始めに、上記クラスタサイズをそれぞれの軸方向に2分割して計8個のクラスターを設定し、応力時空間変化を計算した。その結果、Domain Sについては厳密解に近い結果が得られたが、それ以外のドメインについては誤差がより大きいという結果となった。学会発表では、クラスタリングや量子化、ARTなど複数ある近似の、最終的な応力値における誤差への依存性を詳しく評価した結果を報告する予定である。