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[S01-08] Formularization of spatial autocorrelation for DAS and 3C seismometer and application to seafloor cable data off Sanriku
近年,光ファイバをセンサとして,歪みを数m間隔で数十kmの長距離観測が行えるDistributed Acoustic Sensing(以下 DAS)が地球科学分野に応用されつつある(e.g., Zhan 2019).これまで,我々は海底ケーブルにおけるDASデータに対して地震波干渉法を適用し,抽出した表面波から堆積層・最上部地殻のS波速度構造を高分解能に推定してきた(Fukushima et al. 2022).これまでの研究は,抽出される表面波はレイリー波であると仮定してきた(Fukushima et al. 2022).しかし,Nakahara et al. (2020)は歪み記録のspatial autocorrelation (以下SPAC)の定式化により,DASデータに対して地震波干渉法を行った場合,レイリー波に加えてラブ波も抽出され,観測点間隔が波長に対して,十分に離れていない場合にはラブ波の影響は無視できない可能性があることを示した.しかしながら、DAS記録だけではファイバー軸方向1成分記録であるため,レイリー波とラブ波の分離が困難である. 本研究では,DAS記録と3成分地震計間のSPACについて定式化を行い,その結果,ファイバー軸方向と地震計設置方向のなす角度に応じた補正項が必要であることがわかった.さらに,DAS記録と地震計上下動成分に対して地震波干渉法を行うことで,レイリー波だけが抽出され,DASと地震計のトランスバース成分の地震波干渉法では,ラブ波が主に抽出されることを示した. レイリー波のみを抽出するために,東京大学地震研究所が所有する光ケーブル式海底地震・津波観測システムを利用したDAS観測記録と同ケーブルシステム上の海底地震計(SOB01)の上下動記録に対して地震波干渉法を適用し(Fig.1),レイリー波の位相速度を,定式化したSPACを適用して推定した(Fig.2 ). これまでの研究(Fukushima et al., 2022)では,ラブ波を考慮していない歪みSPACからレイリー波の位相速度を推定している.本研究から求めたDAS-地震計上下動のSPACから推定した結果を比較した.その結果,周波数0.1-0.2Hz間では,それぞれの位相速度はブートストラップ法により推定した誤差の範囲内であり,研究対象地域の場合,DAS-DAS記録間で地震波干渉法を行った場合のラブ波の影響は小さいことが確認された. 今後,DASと通常の地震計を組み合わせることで,海域における3次元的なS波速度構造を高分解能に推定できると考えられる.さらに,DASと地震計を組み合わせることでレイリー波とラブ波の分離が可能であるため,鉛直異方性構造の推定への応用が期待できる.