The 2022 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S02. Seismometry and monitoring system

[S02] PM-2

Wed. Oct 26, 2022 3:00 PM - 4:15 PM ROOM C (8th floor (Training Room 820))

chairperson:Hajime Shiobara(Earthquake Research Institute, The University of Tokyo), Toshinori Sato(Chiba University)

3:15 PM - 3:30 PM

[S02-07] Development of multi-platform next-generation WIN system (2)

*Shigeki NAKAGAWA1, Hiroshi AOYAMA2, Hiroaki TAKAHASHI2, Takuto MAEDA3, Naoki UCHIDA1, Mare YAMAMOTO4, Kazuo OHTAKE5, Hiroshi TSURUOKA1, Yosuke AOKI1, Yuta MAEDA6, Shiro OHMI7, Haruhisa NAKAMICHI7, Makoto OKUBO8, Takeshi MATSUSHIMA9, Hiroshi YAKIWARA10, Katsuhiko SHIOMI11, Kenji UEHIRA11, Hideki UEDA11, Kazuki MIYAOKA12, Koji TAMARIBUCHI13, Ryo HONDA14, Shutaro SEKINE15 (1. Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, 2. Hokkaido University, 3. Hirosaki University, 4. Tohoku University, 5. Systems Design Lab, the University of Tokyo, 6. Nagoya University, 7. Kyoto University, 8. Kochi University, 9. Kyushu University, 10. Kagoshima University, 11. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 12. Japan Meteorological Agency, 13. Meteorological Research Institute, JMA, 14. Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture, 15. Association for the Development of Earthquake Prediction)

1.はじめに
 地震・地殻変動等の時系列データの伝送や検測処理に広く用いられているWINシステム(卜部・束田,1991;卜部・束田,1992;卜部,1994など)は,大学等の基幹システムとして25年以上にわたって使い続けられている.特に現在の対話検測処理ソフトウェアは機能向上を図ることが難しく,検測処理の高度化や迅速な情報発表を図る上での障害となりつつある.一方,この四半世紀で,ハードウェアの性能が大幅に向上したほか,マルチプラットフォームに対応した言語や対話処理に優れた入力デバイスの開発・淘汰が進み,ハードウェア環境に依存しないソフトウェア群の構築が可能になってきた.そこで,WIN形式データのリアルタイム伝送が機関の枠を超えた全国規模のデータ流通の基盤となっていることを踏まえ,定期的に更新が進められてきた防災科研や気象庁のデータ伝送システムや対話検測処理システムを参考にしながら,マルチプラットフォームのソフトウェア群(次世代WIN)の開発を進めている.

2.対話検測処理系システムと今後の展望
 昨年度は波形データの読み込みやマウス操作による検測など対話検測ソフトウェアの基礎となる部分を試作した(中川・他,地震学会,2021).最大の特徴は,1つのソースコードからUnix (Linux, FreeBSD),Windows,macOS の複数プラットフォーム上で動作するネイティブバイナリをそれぞれの環境下でコンパイルできることである.昨年度試作したプログラムは波形表示と手動検測の最小限の機能しか備えていないが,今後の機能拡張が可能な設計となっている.
 本研究では,この昨年度試作したソフトウェアに,震源決定プログラムなどの外部コマンド実行機能や地図表示機能を実装した.震源決定プログラムはWINシステムに同梱されているhypomh(Hirata and Matsu’ura, 1987)を用いているが,入出力のフォーマットを整えれば他のプログラムでも差し支えない.震源決定プログラムを利用することで,検測後に震源決定するだけでなく,理論走時を波形に重ねて表示したり(図(a)),震央距離順に観測点を並べ替えて表示したりできるようになった.また,決定した震源を地震活動と重ねて地図上に表示できるようになった(図(b)).地図表示では,震源の深さによるカラー表示ができるようになった.
 外部コマンド実行機能を実装したことで,他の外部コマンドを用いた機能拡張が可能となった.例えば,発震機構解を求める外部プログラムの利用などが考えられる.対話検測ソフトウェアとして必要最低限の機能は実装できたので,関連する研究者や技術者等で試用しながら,更なる機能拡張を進めていきたい.

謝辞:本研究では,国立研究開発法人防災科学技術研究所,北海道大学,弘前大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,高知大学,九州大学,鹿児島大学及び気象庁の地震観測データを用いました.ここに記して感謝します.なお,本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の支援を受けました.