The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (2nd Day)

Regular session » S02. Seismometry and monitoring system

[S02P] PM-P

Tue. Oct 25, 2022 2:00 PM - 5:30 PM ROOM P-1 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

2:00 PM - 5:30 PM

[S02P-04] Amplitude of artificial vibration captured by DAS

*Masayuki TANAKA1, Akio Kobayashi1 (1. Seismology and Tsunami Research Department, Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency)

近年、分布型音響センシング(DAS; Distributed Acoustic Sensing)の技術を用いた地震観測の成果が数多く発表されている。DASの特徴としては、①一度の測定でファイバ全域にわたる稠密な一次元のひずみ速度計測が可能である。②光ファイバに入射する光パルス幅により決まる空間分解能があり、光パルス幅より狭い範囲の変化は平均化された値で観測されるため、点の計測は困難である。③ファイバ内の不純物や欠陥により発生する散乱光は微弱な光であり、ノイズ低減のために加算平均等の処理が行われている。④サンプリング周波数により決まる距離限界がある。⑤ファイバの伝送損失により、より遠方の散乱光の信号強度は装置の近傍よりも弱く、最大測定可能距離は存在し、かつより遠方ほど測定精度が劣る。等があり、DASで観測されるデータの物理量は、地震計で得られる物理量とは異なるひずみ速度で、かつある区間の平均化された値である。

DASは振動強度に対して線形性を有しているかなどを調査するため、静岡県浜松市天竜区船明地区にあるトンネル内に敷設したシングルモード4芯1kmの光ファイバを使い、複数の周波数及び強度の振動を発生させることができる加振装置により、人工振動を発生させてDASや地震計でその振動を観測した。光ファイバ線は、モルタルセメントで埋めるなど、いくつかの敷設環境について調査した。DAS装置や加振装置の制御、観測したデータの回収などは通信回線を介してつくば市にある気象研究所から行った。

加振装置では2 Hz、4 Hz、8 Hz、12 Hzの周波数につき、大きさを段階的に変化させて40秒間振動を発生させた。DASが記録した振動の周波数の安定度は、2 Hzの振動に対しては安定的に観測されているが、4Hz、8Hz、12Hzと高周波になるに従いそれぞれの周波数からの分散が大きくなった。また、振動源から遠ざかるに従い観測される振動の強さが小さくなる点は、田中・他(2020、地震学会)で報告した、ハンマで地面を叩いて人工振動を発生させた時と同じ結果である。加振装置の振動の強さに限りはあるが、2 Hzの振動に対してDASで観測した振幅はある強さの範囲で線形性が見られた。当日はリファレンスで設置した地震計との対比なども紹介する。