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[S03P-04] Detection by network inversion filter of long-term and short-term slow slip events, using a very dense GNSS Network in Shikoku, Japan, during 2018–2022
要旨 2018年以降のGNSS観測データを使用し、四国域の長期的・短期的SSEを推定した。その結果、2018年10月頃から2019年8月頃にかけて、豊後水道域で長期的SSEが発生し、2019年初めころから四国中部で長期的SSEが発生し現在も継続していること、紀伊水道で、2019年4月頃から2022年1月頃まで継続し、その後鈍化していることが示された。短期的SSEは、2018年以降14回検出されている。短期的SSE領域は低周波微動域と調和的で、一部の短期的SSEでは、滑り域の移動が明瞭に見られた。 はじめに 豊後水道では5~6年ほどの周期で繰り返し長期的SSEが発生してきた。四国中部では1977-1980年に水準測量の結果から長期的SSEの発生が推定されている。紀伊水道の長期的SSEは、1996, 2000, 2016年に発生している。そのような中、2018年10月頃から豊後水道周辺で遷移的な地殻変動が発生し、四国中部で2019年初めころから豊後水道SSEに伴う地殻変動と異なった遷移変動が発生している。紀伊水道では、2019年4月頃から遷移的な変動が発生している。本研究では、GNSSで観測された地殻変動のデータから、四国域の長期的・短期的SSEの検出を行った。 解析手法 GNSSによる、観測点の座標時系列から、年周、半年周成分を三角関数の重ね合わせで推定し、元の座標時系列からとり除いた。周期成分を取り除いた時系列から一次トレンドを除去している。一次トレンドは、2017年1月~2018年1月までで推定している。このようにして得られた東西、南北、上下の座標時系列データを用いて時間依存のインバージョン解析を四国域に関して行った。観測点は南海トラフ域の観測点約140点を使用した。弘瀬他(2008)によりコンパイルされたフィリピン海プレートの形状を三角形要素で表して解析に使用している。グリッド間隔は、20-40km程度としている。プレート境界面上のすべりの方向はプレート収束方向になるように拘束をかけた。 結果と考察 2018年10月頃から2019年8月頃にかけて豊後水道でSSEが発生している。豊後水道SSEと同時期に四国中部でSSEが発生し、2022年7月まで継続している。豊後水道SSEはMw7.0、四国中部SSEはMw6.5程度と推定された。豊後水道SSEはおおよそ5-6年周期と調和的で、四国中部は、1977-1980年に発生し、2013年に発生しているが、その繰り返し間隔はあまり周期的でないように見える。紀伊水道のSSEは、2019年4月頃から2021年1月頃まで継続し、その後鈍化している。繰り返し間隔ははっきりしないように思われる。短期的SSEは2018年以降14個検出された。検出された短期的SSEは低周波微動と調和的であった。短期的SSEの幾つかには滑り域の移動が見られた。低周波微動と短期的SSEの時空間変化の相関を詳細に調べることにより、低周波微動と短期的SSEの物理的な関係がより明瞭になることが期待される。