日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S06. 地殻構造

[S06P] PM-P

2022年10月25日(火) 14:00 〜 17:30 P-2会場 (10階(1010〜1070会議室))

14:00 〜 17:30

[S06P-03] ニュージーランド北島北東沖の付加体及び浅部スロースリップ発生域へのAdjoint tomographyの適用

*足立 舜1、Bryant Chow2、金子 善宏1 (1. 京都大学、2. アラスカ大学フェアバンクス校)

ニュージーランド北島のヒクランギ沈み込み帯には付加体や沈み込んだ海山、巨大地震を引き起こしうる固着したプレート境界が存在し、スロースリップが繰り返し発生している。先行研究であるChow et al. (2022a,b) は地震波トモグラフィーの手法の一つであるAdjoint tomographyをヒクランギ沈み込み帯に初めて適用し、ニュージーランド北島東岸の2つの高速度アノマリーをイメージングすることに成功した。これらの高速度アノマリーはこれまで知られていなかった深く沈み込んだ海山だと解釈されている。沈み込んだ海山の存在は海底の堆積物のデータや周囲の地球物理学的なアノマリーの存在などの独立した研究結果と調和的であり、海山の有無がスロースリップの発生領域と固着域が明確に分かれている要因である可能性を示唆している。
ニュージーランド北島近傍では2017-2018年にIODP(International Ocean Discovery Program)が海底掘削を実施したほか(Barnes et al., 2020)、2021年にはM7.3の地震が発生した(Okuwaki et al., 2021)。しかし、これらはいずれも先行研究の領域に含まれていない。そこで本研究ではChow et al. (2022a,b)の速度構造モデルを沈み込み帯に沿って北東方向に400㎞拡大し、両者を領域内に含めたモデルを使用する。領域内の60個の地震と88個の広帯域地震計のデータを用いてadjoint tomographyを適用し、6-30秒の周期の地震波形データに合うよう繰り返しモデルのアップデートを進めている。ヒクランギ沈み込み帯の付加体構造のイメージング結果やその解釈について、現在までの取り組みを報告する。