The 2022 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (1st Day)

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08P] PM-P

Mon. Oct 24, 2022 3:30 PM - 6:00 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

3:30 PM - 6:00 PM

[S08P-02] Source process analysis of the 2004 off Kii peninsula earthquake from using sparse observation network and Green functions based on a three-dimensional structure

*TAKAHITO NISHIMIYA1 (1. Second Laboratory, Department of Seismology and Tsunami Research, Meteorological Research Institute, Japan Meteorological Agency)

気象庁は、南海トラフで異常な現象が観測され調査を開始すると南海トラフ臨時情報を発表する。特に南海トラフのプレート境界でMW7.0以上の地震が発生したと認識すれば速やかに巨大地震への注意・警戒を速やかに呼びかけることとしている。このため南海トラフで地震が発生した場合、プレート境界のどこからどこまで破壊が至ったのか速やかに把握したい。
破壊領域を知る手段の1つに震源過程解析がある。気象庁の地震観測網はリアルタイムで地震波形が伝送され、それを用いて24時間体制で地震活動を監視している。それら波形データを用いることで速やかに震源過程解析に着手することができるが震源過程にはやや疎な観測網であるかもしれない。
やや疎な観測網のデータであっても、地震波についての3次元構造を反映したより正確と思われるGreen関数を解析に用いることで妥当な震源過程が得られる可能性がある(西宮, JpGU Meeting 2022)。
そこで 2004/09/05 19:07(JST)に紀伊半島沖で発生した地震(MJ7.1)について、当時の気象庁の地震観測網の波形データと3次元構造を反映したGreen関数を用いて震源過程解析を行った。

破壊開始点や断層パラメータについては、この地震について遠地P波を用いて震源過程解析を行っているPark and Mori(2005)の値を用いた。Park and Mori(2005)は南落ち・北落ちなど様々な走向・傾斜を持つモデルで解析を行い、その上で適切な断層パラメータを設定している。
設定した断層面上にグリッドを配置し、3次元構造として全国1次地下構造モデル(JIVSM)(Koketsu et al., 2012)を用いて、OpenSWPC(Maeda et al., 2017)の相反定理モードにより各グリッドと各観測点間のGreen関数を計算した。
そしてグリッドごとにGreen関数とすべりの基底関数から理論的な地震波を計算し断層面全体にわたって重ねて得た合成波形と、観測波形とを用いたマルチタイムウィンドウ線形波形インバージョン(たとえばIde et al.,1996)により震源過程を得た。インバージョンでは、各グリッドでのすべり方向を断層すべりから±45度の範囲内に拘束し、またすべり量が滑らかになるような制約を課した。すべりの基底関数には継続時間2秒の三角形関数を用いた。滑らかさのパラメータはABIC最小となるよう選んだ(Fukahata et al., 2003)。
結果、震源から東方向へ破壊が進行する、まとまった破壊領域が得られた(図参照)。これをPark and Mori(2005)の結果と比べると、破壊領域の広さなど傾向はよく似ているが、Park and Mori(2005)の結果に比べて東方向へ破壊が伝播する傾向が顕著に現れた。なお、この地震の東側で約5時間後にMJ7.4の地震が発生している。

3次元構造でのGreen関数は計算に時間を要することから短時間で震源過程解析の結果を得る場合にはGreen関数をあらかじめ用意しておく必要がある。このため、断層パラメータを変えるなどの臨機応変な解析や得られた結果の誤差評価等について課題がある。