3:30 PM - 6:00 PM
[S08P-03] Commonality and diversity of ruptures occurring at the same asperity: the 2015 Mw6.8 Miyagi-Oki earthquake and Mw6.0-6.4 quasi-repeating earthquakes
2011年M9東北沖地震後、宮城沖北部地域では 2015年 Mw6.8の地震を含む複数のMw>~6のプレート境界地震が、その規模を少しずつ変えて、繰り返し発生している。本研究では、同一のアスペリティを共有して発生する異なる地震の発生過程の共通点と相違点、そしてその原因について知見を得る目的で、Mw6-6.8地震の震源過程および周辺域で発生する繰り返し地震の発生頻度の時間発展とについて調べた。
最初に、対象域周辺地震の相対位置を、地震の波形相関とカタログ値を用いた Double-difference法により求めた。その結果、この地域においては、東北沖地震直後から繰り返し地震が非常に短い繰り返し間隔で発生していることが分かった。東北沖地震の余効すべりに伴う loading rateの増加により、周辺域の地震活動が活発化していると考えられる。2002年の Mw6.4地震、2011年3月の Mw6.0地震、2011年7月の Mw6.3地震、2012年のMw6.3地震、2020年4月の Mw6.3、2015年Mw6.8地震、2020年の Mw6.3地震が、非常に近い位置で破壊を開始したプレート境界型地震であることが分かった。
次に、観測波形の deconvolutionにより 2015年 Mw6.8の地震および近接する5つの Mw6.0-6.4地震のみかけの震源時間関数を求め、source inversionにより、震源過程を推定した。その結果、これら 6つの Mw6.0-6.8地震が、震源から西側にある同一のパッチを繰り返し破壊していたことが分かった。6つの地震のいずれの場合でも、破壊は、最初、西側パッチで開始して、主として西側に伝播した。2002年 Mw6.4と2012年 Mw 6.3の地震、 2015年 Mw6.8地震の場合には、西側パッチの破壊後に、更に東側のパッチも破壊したのに対して、それ以外の地震は、西側パッチのみしか破壊しなかった。
西側パッチにおけるモーメント解放量は、東北沖地震前後、破壊の連動の有無にかかわらず、同様の 2.5x1018 Nm (Mw6.3)程度のことが多かった。ただし、2011年3月の Mw6.0の地震の場合では、9.1x1017程度で、滑り量・応力降下量がそれ以外の時期の半分程度に小さかった。この地震は、東北沖地震時に一回滑った直後に発生しため、強度の回復量が平時にの地震時に比べて小さいままだったことにより説明できるかもしれない。
2015年 Mw6.8の地震の場合にも、西側パッチのモーメント解放量は約 7.3x1018Nm程度となり、同じパッチの滑り量・応力降下量が平時よりも数倍大きくなった。西側パッチ破壊の直後に生じた東側パッチの滑り量も大きく、両パッチで同程度のモーメント解放が行われた。この地震の際に、小繰り返し地震から示唆される loading rateが、他の地震の際と大きく変わっていたようには見えなかった。一方で、この地震と前回の地震の間の繰り返し時間は 3年程度と比較的長く、同じ系列の繰り返し地震の発生個数は、前の繰り返し時間のそれの 2~3倍程度になっていた。
2015年の地震の際にだけ滑り量が大きくなった理由は明らかではないが、一つの可能性として、西側パッチと東側パッチの連動でトータルの断層サイズが大きくなったことに伴い、滑り量も大きくなったことが考えられる。2015年の地震の前には、西側パッチ・東側パッチが間の領域と共に滑り遅れることにより、同じ loading rateでもせん断応力の増加量は小さくなり、地震の再来にも時間が掛かったのかもしれない。ただし、2002年や 2020年の地震の際にも、二つのパッチの連動破壊が生じたが、その際には西側パッチの滑り量は平時と大きく変わらなかった。また、2015年の地震時にも西側パッチと東側パッチの間の領域ではパッチ内に比べて小さな滑りしか生じさせなかった。異なる可能性として、2015年 Mw6.8地震発生前には、それ以外のMw6-6.4地震よりも、パッチ内のせん断応力・断層強度が高いレベルになっていたのかもしれない。2012年の地震の際には、破壊が西側パッチだけでなく、東側の浅部側にも伝播した。流体が破壊域を通って浅部側に移動し、間隙水圧が減少するようなことが起こったのかもしれない。2015年 Mw6.8地震前の断層サイズが平時よりも大きくなっていたために、繰り返し期間および繰り返し地震の個数がそれ以外の時よりも大きくなり、地震前のパッチ内せん断応力も大きくなり、大すべりを生じさせた可能性が考えられる。
最初に、対象域周辺地震の相対位置を、地震の波形相関とカタログ値を用いた Double-difference法により求めた。その結果、この地域においては、東北沖地震直後から繰り返し地震が非常に短い繰り返し間隔で発生していることが分かった。東北沖地震の余効すべりに伴う loading rateの増加により、周辺域の地震活動が活発化していると考えられる。2002年の Mw6.4地震、2011年3月の Mw6.0地震、2011年7月の Mw6.3地震、2012年のMw6.3地震、2020年4月の Mw6.3、2015年Mw6.8地震、2020年の Mw6.3地震が、非常に近い位置で破壊を開始したプレート境界型地震であることが分かった。
次に、観測波形の deconvolutionにより 2015年 Mw6.8の地震および近接する5つの Mw6.0-6.4地震のみかけの震源時間関数を求め、source inversionにより、震源過程を推定した。その結果、これら 6つの Mw6.0-6.8地震が、震源から西側にある同一のパッチを繰り返し破壊していたことが分かった。6つの地震のいずれの場合でも、破壊は、最初、西側パッチで開始して、主として西側に伝播した。2002年 Mw6.4と2012年 Mw 6.3の地震、 2015年 Mw6.8地震の場合には、西側パッチの破壊後に、更に東側のパッチも破壊したのに対して、それ以外の地震は、西側パッチのみしか破壊しなかった。
西側パッチにおけるモーメント解放量は、東北沖地震前後、破壊の連動の有無にかかわらず、同様の 2.5x1018 Nm (Mw6.3)程度のことが多かった。ただし、2011年3月の Mw6.0の地震の場合では、9.1x1017程度で、滑り量・応力降下量がそれ以外の時期の半分程度に小さかった。この地震は、東北沖地震時に一回滑った直後に発生しため、強度の回復量が平時にの地震時に比べて小さいままだったことにより説明できるかもしれない。
2015年 Mw6.8の地震の場合にも、西側パッチのモーメント解放量は約 7.3x1018Nm程度となり、同じパッチの滑り量・応力降下量が平時よりも数倍大きくなった。西側パッチ破壊の直後に生じた東側パッチの滑り量も大きく、両パッチで同程度のモーメント解放が行われた。この地震の際に、小繰り返し地震から示唆される loading rateが、他の地震の際と大きく変わっていたようには見えなかった。一方で、この地震と前回の地震の間の繰り返し時間は 3年程度と比較的長く、同じ系列の繰り返し地震の発生個数は、前の繰り返し時間のそれの 2~3倍程度になっていた。
2015年の地震の際にだけ滑り量が大きくなった理由は明らかではないが、一つの可能性として、西側パッチと東側パッチの連動でトータルの断層サイズが大きくなったことに伴い、滑り量も大きくなったことが考えられる。2015年の地震の前には、西側パッチ・東側パッチが間の領域と共に滑り遅れることにより、同じ loading rateでもせん断応力の増加量は小さくなり、地震の再来にも時間が掛かったのかもしれない。ただし、2002年や 2020年の地震の際にも、二つのパッチの連動破壊が生じたが、その際には西側パッチの滑り量は平時と大きく変わらなかった。また、2015年の地震時にも西側パッチと東側パッチの間の領域ではパッチ内に比べて小さな滑りしか生じさせなかった。異なる可能性として、2015年 Mw6.8地震発生前には、それ以外のMw6-6.4地震よりも、パッチ内のせん断応力・断層強度が高いレベルになっていたのかもしれない。2012年の地震の際には、破壊が西側パッチだけでなく、東側の浅部側にも伝播した。流体が破壊域を通って浅部側に移動し、間隙水圧が減少するようなことが起こったのかもしれない。2015年 Mw6.8地震前の断層サイズが平時よりも大きくなっていたために、繰り返し期間および繰り返し地震の個数がそれ以外の時よりも大きくなり、地震前のパッチ内せん断応力も大きくなり、大すべりを生じさせた可能性が考えられる。