The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (1st Day)

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08P] PM-P

Mon. Oct 24, 2022 3:30 PM - 6:00 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

3:30 PM - 6:00 PM

[S08P-12] Dynamic simulations of coseismic slickenlines on non-planar and rough faults

*Takumi Aoki1, Yoshihiro Kaneko1, Jesse Kearse2 (1. Kyoto University, 2. Victoria University of Wellington)

地震の強震動分布を決定する要因の1つである地震の破壊伝播方向を、古地震に対して決めることは重要な課題である。近年、過去の地震の際に観測された条線と単純な平面断層の動的破壊モデルから、地震時に断層面上で記録される条線の湾曲の向きと断層の破壊伝播方向との間に関係性があり(Kearse et al., 2019; Kearse and Kaneko, 2020)、古地震学的な観測から地震の破壊伝播方向を推定できる可能性が提示された。一方で複雑な形状を持つ断層で観測された条線には、平面断層モデルから得られた関係性とは湾曲の凹凸が逆向きになっているものも報告されている。本研究ではこのような逆向きの湾曲をabnormal convexityと呼ぶ。このような逆向きな湾曲の条線を説明するため本研究では地表付近に形状を与えた断層や断層全体に複雑な形状を持つ断層モデル(rough fault model)を用いて地震破壊のシミュレーションを行った。その結果、abnormal convexityを持つ条線が再現された。断層が平面でない場所では断層面上の初期応力が変化し、特に横ずれ断層については断層の傾斜が急激に変化する場所でせん断応力の鉛直成分が変化することによって、平面の場合とは逆向きの湾曲が起きていた。また、初期応力が深さとともに増加するモデルでは地表近くでabnormal convexityが得られるようなパラメータ範囲が狭く、地表付近で湾曲の凹凸を逆にすることは難しいこともわかった。本研究の結果から、急激な断層形状の変化がある地点では条線の湾曲が逆向きになることもあるため、条線の湾曲から断層の破壊伝播方向を推定する際には断層の形状が比較的単純な場所での観測を用いるべきであると考えられる。