The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (1st Day)

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08P] PM-P

Mon. Oct 24, 2022 3:30 PM - 6:00 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

3:30 PM - 6:00 PM

[S08P-16] Impact of Kuroshio meanders on a stationary slow slip event and local seafloor level change around the Nankai Trough

*Keisuke ARIYOSHI1, Akira Nagano1, Takuya Hasegawa2, Takeshi Iinuma1, Masaru Nakano1, Demian Michael Saffer4, Hiroyuki Matsumoto1, Shuichiro Yada1, Eiichiro Araki1, Narumi Takahashi3, Takane Hori1, Shuichi Kodaira1 (1. JAMSTEC, 2. Faculty of Environmental Earth Science, Hokkaido University (now at Japan Meteorological Agency), 3. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 4. University of Texas, Austin)

南海トラフ近傍に設置されたDONETや長期孔内観測システムによって、海溝型巨大地震固着域の浅部延長上のプレート境界面上において、スロースリップイベント (SSE) が繰り返し起きていることが明らかとなっている (Araki et al., 2017; Ariyoshi et al., 2021a)。昨年の秋季大会の講演では、2020年3月に発生したSSEについて、黒潮蛇行によってトラフ軸付近の海底圧力が減少したことで浅部側まですべりが延伸し、SSEが終息するタイミングで海底圧力がすべり域全体で増加したことを指摘した (Ariyoshi et al., 2021b)。本講演は、この特徴が過去の事例についても当てはまるのか検証することを目的としている。

その中で今回は、2012年2月のSSEと、2013年3~7月のイベントに着目した。2012年のSSEは、規模が同程度の他のSSEに比べて継続時間が有意に長い特徴がある。2013年のイベントは、DONETのBノード付近で海底圧力計に局所的な変化が生じたことが指摘されているが (Suzuki et al., 2017)、プレート境界面上でのすべりであるとすると、Mw6程度のSSEであったことが期待される一方で、スロー地震活動に顕著な活発化はみられていないという矛盾を抱えている。

そこで、海洋モデル (JCOPE)を適用し、海底圧力の海洋変動成分を算出した。その結果、両期間中に黒潮蛇行が通過し、中規模渦と呼ばれる時空間スケール(数十~数百km、数日~数十日程度)で海洋擾乱が生じていることを確認した。2012年2月のSSEでは、海面高度の低下と共に海底圧力が減少し続けており、これが長い継続時間をもたらした要因の一つと考えられる。2013年のイベントでは、急激な海底圧力の変動がみられており、これによりBノード直下にある海山周辺の地殻流体が移動し、局所的な膨張が生じたと考えると、局所的な海底隆起が説明できると考えられる。

これらの解析を検証する際に、スロースリップイベントや余効すべりは、海洋擾乱の中規模渦と同程度の時空間スケールとなっていることが分かった。このことは、海底地殻変動の多様性を理解するために、気象海象の擾乱などの影響も考慮する必要があることを示している。そこで我々は、スロースリップイベントの誤検知リスクの軽減や終息時期の予測向上を図るため、統合的な解析環境の構築を進めている。