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[S08P-17] A possible relation between Reidel shear band and rate- and state-dependent friction parameters
ガウジ層を挟んだ岩石摩擦実験を行うと、すべり方向に並行な剪断面(Y面やB面)だけでなく、すべり方向と斜交するRiedel shear band (R1面)と呼ばれる剪断面が形成される。R1面は、すべりの初期に生成され、定常になるとY面やB面でのすべりに移行することが、これまでの実験的な研究で知られている(e.g., Logan et al., 1992)。しかしながら、すべり距離が長くなると振る舞いが異なってくることも報告されている(Beeler et al., 1996)。 本研究においては、大型2軸岩石摩擦試験機を用いたガウジ層を含む試料のvelocity step change testから得られたデータ(下田・他, 2020, 地震学会)と、実験後にサンプリングされたガウジ層の薄片観察結果(渡辺・他, 2021, 地震学会)との関係を議論する。大型岩石摩擦試験のメリットは、試料長が長いため、回転剪断摩擦試験のように同じところを何度もすべらせることなくすべり量を長くできることであり、また、試料が大きいため、すべり面の不均質状態を観察できるという特徴がある。 実験は、長さ1.5m幅0.1m 初期厚さ3mm(実験中厚さ1-2mm)に敷設した変斑れい岩ガウジをおなじ変斑れい岩試料により上下から挟み防災科学技術研究所の大型2軸摩擦試験機を用いて行われた。3.3MPaあるいは6.5MPaの法線応力をかけたのち0.01mm/s, 0.1mm/s, 1mm/s の速度を行き来するvelocity step change testが行われた(下田・他, 2020, 地震学会)。実験中はAEセンサーによりstick slip eventから発せられる波動の測定も行われた。実験後、上側試料を垂直に持ち上げ、ガウジ層を露出させたのち、ガウジ層の採取が行われた。採取したガウジ層試料はエポキシ樹脂溶液につけられ、すべり方向断面の薄片が作成された。薄片には明瞭な境界すべり面(B面)とR1面が認められた(渡辺・他, 2021, 地震学会)。 実験後にガウジ層上部から撮影した写真より、すべり面はR1面があまり発達していないと考えられる部分と、R1面が非常に発達している部分(おおよそ4箇所)に分けられ、いずれの実験においてもその位置に大きな違いはなかった。また、velocity step change testの際にAE eventの発生が認められ、その震源位置を推定すると、いずれもR1面が発達している部分と符合した。また、単位すべり量当たりのAE event発生数は、1mm/sへと速度を変化させた直後が最も多く~1.0個/mmであり、0.1mm/sでは~0.3個/mm、0.01mm/sでは~0.1個/mmと載荷速度依存性が見られた(渡辺・他, 2021, 地震学会)。 上記の測定結果より、R1面の生成に関して以下のシナリオが考えられる。velocity step changeの直後からR1面の形成が始まりAE eventが発生する。R1面の形成が終わりB面によるすべりが卓越し定常状態となる。速度変化直後の摩擦係数の変動から摩擦パラメータの推定が行われることから、R1面の生成はa, b, Dcなどの摩擦パラメータに何らかの関連があると考えられる。