16:15 〜 16:30
[S09-11] 南海トラフにおける浅部微動の地震波エネルギーの空間分布
南海トラフ沈み込み帯のプレート境界では巨大地震発生域をはさんで深部側と浅部側の双方の領域において,それぞれスロースリップや超低周波地震を伴う微動が発生している.浅部の微動の性質は,海底地震計データを用いた近年の研究により調べられており,地震波エネルギーの不均質な空間分布(Yabe et al., 2019, 2021)や,高エネルギー側で指数関数的に逸脱するグーテンベルク-リヒター則(tapered G–R則)に従う規模別頻度分布(Nakano et al., 2019; Nakano and Yabe, 2021)が知られている.しかし,これらの解析は時間的・空間的に限定された微動活動に基づいている.本研究では,南海トラフ浅部域における長期間の微動カタログを用いて微動の地震波エネルギーの時空間分布および規模別頻度分布を詳細に調べた.
防災科学技術研究所の運用する地震・津波観測監視システムDONET1およびDONET2の広帯域地震計記録を使用し,スペクトル解析によるエアガンノイズ除去とカタログ照合による遠地地震除去を施したエンベロープ相関法を適用して,南海トラフ浅部域の微動活動の網羅的なカタログを構築した.さらに,海底地震計のサイト増幅特性および地震波減衰を補正して,微動の周波数帯域(2-6 Hz)における地震波輻射エネルギーを推定した.補正値はYabe et al. (2019, 2021)で推定されたものを使用した.最後に,微動のエネルギーレートと累積継続時間に基づいて規模別頻度分布を調べた.
室戸沖から紀伊半島南東沖にかけての領域で,2015年10月から2022年6月の期間に6回の大きなバースト活動を含む15,000以上の微動を検出した.微動のエネルギーはプレート沈み込みの走向方向に明瞭な空間不均質を見せ,紀伊半島南東沖の海溝軸近傍に顕著にエネルギーの高い領域(~106 J/s),紀伊水道沖に顕著にエネルギーの低い(~103 J/s)領域が確認された.微動の規模別頻度分布にも,走向方向に沿って特徴的な空間変化が見られた.沈み込み帯の東側の紀伊半島南東部の微動は,先行研究で報告されているtapered G–R則に従う一方,西側の紀伊水道沖や室戸沖の微動は典型的なG–R則に近い規模別頻度分布を持つことがわかった.これらの違いは,プレート境界浅部の摩擦特性や応力状態の空間的な違いを反映していると考えられる.
防災科学技術研究所の運用する地震・津波観測監視システムDONET1およびDONET2の広帯域地震計記録を使用し,スペクトル解析によるエアガンノイズ除去とカタログ照合による遠地地震除去を施したエンベロープ相関法を適用して,南海トラフ浅部域の微動活動の網羅的なカタログを構築した.さらに,海底地震計のサイト増幅特性および地震波減衰を補正して,微動の周波数帯域(2-6 Hz)における地震波輻射エネルギーを推定した.補正値はYabe et al. (2019, 2021)で推定されたものを使用した.最後に,微動のエネルギーレートと累積継続時間に基づいて規模別頻度分布を調べた.
室戸沖から紀伊半島南東沖にかけての領域で,2015年10月から2022年6月の期間に6回の大きなバースト活動を含む15,000以上の微動を検出した.微動のエネルギーはプレート沈み込みの走向方向に明瞭な空間不均質を見せ,紀伊半島南東沖の海溝軸近傍に顕著にエネルギーの高い領域(~106 J/s),紀伊水道沖に顕著にエネルギーの低い(~103 J/s)領域が確認された.微動の規模別頻度分布にも,走向方向に沿って特徴的な空間変化が見られた.沈み込み帯の東側の紀伊半島南東部の微動は,先行研究で報告されているtapered G–R則に従う一方,西側の紀伊水道沖や室戸沖の微動は典型的なG–R則に近い規模別頻度分布を持つことがわかった.これらの違いは,プレート境界浅部の摩擦特性や応力状態の空間的な違いを反映していると考えられる.