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[S09-23] Evaluation of seismic activity characteristics at different depths through laboratory rock fracture experiments
異なる深さ,つまり異なる応力環境において発生した地震が,どのような共通点や相違点を持つかは興味深い.近年は地震10 km以浅でも人間の工業活動の影響による地殻浅部における誘発地震の発生も増加しており,その活動特性の評価が重要となっている.本研究では,異なる封圧下における岩石の三軸圧縮破壊試験中に発生した微小破壊活動を比較することで,異なる深さにおける地震活動を観察する.岩石の圧縮試験中に発生する微小破壊はAcoustic Emission(AE)と呼ばれ,主破壊が発生する前の試料内で発生することから,その活動や波形情報は地殻の応力や不均質の状態を反映していると考えられる.我々は,10 MPaの封圧下におけるWesterly花崗岩の三軸圧縮試験を実施し,広帯域連続AE収録を実現するとともに(Yoshimitsu et al., 2014),その後封圧50 MPa下における三軸圧縮試験にも成功した(Yoneda et al., 2017).本発表ではこれらに加えて新たに封圧100 MPa下における実験を実施した.3つの実験には直径50 mm,高さ100 mmのWesterly花崗岩を利用した.室温条件下において目的封圧達成後に軸応力制御で強度の6割程度まで載荷した後,周変位制御による圧縮を数時間かけて実施し,破壊強度を迎えたのちにわずかに軸応力が低下したところで除荷した.実験中,試料側面に貼った8点(100 MPaの場合のみ7点)の広帯域センサ(富士セラミックス社製,100-2000 kHz)でAE波形を20 Mspsで連続収録した.得られた連続記録からAICにより次数選択したARモデルを用いて初動の立ち上がりを同定し,AE波形を切り出した.最小二乗法による震源決定を実施したところ,決定されたイベントは,10 MPaにおいて 6794,50 MPaにおいて約65000,100 MPaにおいて約70000であった.すべてのケースにおいて,イベント活動は圧縮開始直後には低調であり,AEはほとんど発生しなかった.その後,強度の80%程度まで圧縮が進むと地震活動は徐々に活発になり,最大強度を超えた後に急激にイベントの数が増える.AE活動の規模別頻度分布から推定したGutenberg-Richter則におけるb値は2程度の値を示した.これは一般的な自然地震活動から得られる1程度のb値に比べると大きく,群発地震や火山性地震においてみられる値に近い.10 MPa, 50 MPaの両ケースにおいて,b値は最大強度に近づくと0.3程度減少した.これらより,3つの異なる封圧下においてAEの発生数に違いはあるものの,その活動パターンは非常によく似ていることがわかった.実験試料内のAEは自然環境における前震に相当するものであり,最大強度に近づくまでほとんど活動が見られないという結果は,自然地震において本震のはるか前には活発な前震活動があまり見られないことが多いことと調和的である.いくつかの自然地震においては本研究で見られたのと同様の前震の活発化も見られているが (e.g., Jones and Molnar, 1979),載荷レートが実験とは異なる可能性があり,直接的な比較には注意が必要である.本研究で取り扱った封圧10-100 MPaという圧力環境は,深さ1-3 km程度の地殻に相当する.したがって,本研究の結果は,浅部地殻において周辺岩盤の圧力は地震活動パターンに大きな影響を与えない可能性を示した.