The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (3rd Day)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09P] AM-P

Wed. Oct 26, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-1 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S09P-01] Analysis of seismic activity (Oct 2017-Sep 2021) beneath the Hakusan volcano.

*Masato Fukata1, Yoshihiro Hiramatsu1 (1. Kanazawa University)

1) はじめに
白山火山は石川-岐阜両県境に位置する活火山である。束田ほか(1990)や高橋ほか(2003)など白山火山直下の地震活動に焦点を当てた研究では、解析期間における地震活動は山体直下の浅い領域に集中し、メカニズム解は広域応力場に調和的であった。また、2005年には4回の群発地震活動が認められ、各群発地震の発生領域は異なり、白山火山直下の地震としては最大のM4.5の地震が発生した(平松・和田, 2008)。近年、白山火山は地震数やベニオフ歪の増加傾向から地震活動が活発化している可能性があり、最後の噴火から350年以上が経過しているため、将来火山活動が再開する可能性がある。本研究では、白山火山直下で発生した地震を解析し、震源の空間分布や震源メカニズム解から地震活動について考察を行う。

2) データと手法
使用するデータは防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)と気象庁、京都大学防災研究所の観測点で得られた連続地震波形である。気象庁一元化震源リストから2017年から2021年の間で地震が多発する期間を選び、気象庁の連続地震波形記録から地震を目視で確認し、WINシステム[ト部・束田, 1992]により震源決定を行う。また、震源位置の相対精度を高めるため、観測点補正値とDouble Difference法[Waldhauer and Ellsworth, 2000]を用いて震源再決定を行う。その後、P波の押し引きが多数の観測点で確認できる比較的マグニチュードの大きい地震(M1.5以上)においてWINシステムを用いて初動の押し引きの験測を行い、Maeda(1992)のプログラムを用いて震源メカニズムを決定し、スコア0.9以上で決定された震源メカニズム解を使用する。

3) 結果と考察
震源決定は7期間(2017/10/10~11, 2017/11/29, 2019/01/12, 2019/03/06, 2020/03/28, 2020/06/19~20, 2021/09/21)で行った。震源決定の結果、気象庁一元化震源リストに比べ、約4倍の震源を決定することが出来た。震源分布は震源決定の際に用いたP波速度構造モデル[竹内, 1979]により気象庁一元化震源リストに比べ浅く決定された。観測点補正値とDouble Difference法を用いた各地震群の震源は2005年の群発地震の発生領域上に分布していた。また、震源メカニズム解の推定を行った結果、多くの地震は西北西-東南東方向に主圧力軸を持つ横ずれ断層型や逆断層型を示していた。防災科学技術研究所の広帯域地震観測網(F-net)により推定された周辺地域のメカニズム解と同様のメカニズム解を示したため、多くの地震はこの地域の広域応力場を反映していると考えられる。一部、正断層型のメカニズム解を示したが、過去に同様の領域で発生した地震も同様のメカニズム解を示している事からこの領域において地域性がある可能性がある。多くの地震群で震源領域の長径方向と震源メカニズム解の節面の方向が一致している事から震源分布領域に断層面があると考えられる。メカニズム解は広域応力場と整合的であったが、クーロン破壊応力変化(ΔCFF)から山頂直下の深さ5-10km付近に球状圧力源がある場合やダイクが存在する場合、多くの地震発生領域で正のΔCFF値が見られたため、地震活動の一時的な増加の要因として地下の圧力源やダイクの存在を否定するものではないと考えられる。

謝辞
本研究では防災科学技術研究所、気象庁、京都大学防災研究所の各観測点の地震波形データを使用させていただきました。記して感謝いたします。