The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (3rd Day)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09P] AM-P

Wed. Oct 26, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-1 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S09P-02] Stress change on inland faults in Southwestern Japan due to the 1944 Tonankai and the 1946 Nankai earthquakes

*Akinori Hashima1, Takane Hori1, Takeshi Iinuma1, Souta Murakami2, Tsuyoshi Ichimura2, Kohei Fujita2 (1. Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 2. Earthquake Research Institute, University of Tokyo)

西南日本弧ではフィリピン海プレートが南海トラフで沈み込み、100-200年の再来間隔で巨大地震が発生している(Ando, 1975)。歴史地震記録によると、プレート境界の巨大地震発生の50年前から10年後にかけて西南日本において内陸地震が活発化することが知られている(Utsu, 1974)。このような内陸地震発生の定量的な評価のためには、巨大地震サイクルによる内陸の震源断層への応力変化を見積もる必要がある。
巨大地震前の内陸地震発生に関連する応力蓄積は、地震前の固着(すべり速度欠損)パターンから推定することができる。一方、巨大地震の発生後の応力変化は、巨大地震の破壊過程とその粘弾性効果に強く依存する。そのため、ありうる地震破壊のシナリオを事前に想定しておき、そのシナリオにおける応力蓄積パターンを見積もっておくことが必要である。
南海トラフ下の巨大地震破壊は様々な発生パターンを示している。直近の巨大地震は1944年(M7.9東南海)と1946年(M8.0南海)であり、東と西のセグメントが2年間隔で破壊する、いわゆる「半割れ」が発生したのちに比較的短い時間をおいて残りの部分でのすべりが起こることで、いわゆる「全割れ」とほぼ同等の応力変化が最終的にもたらされるパターンであった。これらの巨大地震の後、内陸域においては、1945年三河地震や1948年福井地震といったM7級の被害地震が発生した。特に1945年三河地震は、1944年の半割れの直後、1946年の残りの破壊の前に発生しており、このような破壊プロセスによる応力変化と内陸の地震発生の関連を調べることが重要であることを示している。
2011年東北沖地震の陸域と海域を合わせた地殻変動観測により、M9級地震後の余効変動によるアセノスフェアの粘弾性緩和の影響が示されてきた(Sun et al., 2014; Watanabe et al., 2014)。有限要素法による粘弾性解析により、M9地震後の特徴的な余効変動パターンを再現するために、粘性構造、特に海陸の粘性率比や沈み込むスラブ下部の低粘性層を考慮することの必要性が示されている(e.g. Sun et al., 2014; Freed et al., 2017)。近年の数値解析手法の発展により、高詳細な地表地形や内部構造を取り入れた粘弾性解析も可能になってきている(Ichimura et al., 2016)。
従って、本研究では、1944年―1946年の破壊過程によって西南日本の各断層に生じた応力変化を見積もる。断層形状モデルは地震調査研究推進本部 (2009)を用い、応力変化の計算には、地下の粘性緩和の影響を考慮できる高詳細有限要素法(Ichimura et al., 2016; Hori et al., 2021)を用いる。入力値として与える1944年東南海、1946年南海地震のすべり分布は、様々なモデルが提案されているが、紀伊半島南東岸に平行に分布する東南海地震のすべり分布、土佐湾から海溝にかけて分布する南海地震のすべり分布、と共通する特徴が認められる(e.g. Ichinose et al., 2001; Baba et al., 2005; Sagiya & Thatcher, 1999; Sherrill & Johnson, 2021)。そこで、本研究では、これら過去研究のすべり分布を5つの基本すべり領域の重ね合わせとして表現する。過去研究の様々なすべりパターンを考慮し、内陸地震の断層におけるクーロン応力変化(ΔCFS)を計算した。
大局的に、1944年東南海地震によるΔCFSは中部〜近畿地方の震源域周辺の断層において正の値をとり、その周りの断層で負の値をとる。引き続き1946年南海地震により、中央構造線および中国〜近畿地方の断層の断層が正値となる。両地震の影響域の中間にある断層では、1946年南海地震およびその粘弾性緩和の影響により、ΔCFSの符号が変化するものが見られた。このような断層では、東南海・南海の地震を通して、一旦静穏化したのちに活発化する、またはその逆といったように、大きく変化しうる。