The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (3rd Day)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09P] AM-P

Wed. Oct 26, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-1 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S09P-10] Steep gradient zone of seismic velocity structure at the hypocenter of offshore Iwate events on March 18, 2022

*Makoto MATSUBARA1, Hiroshi Sato2, Shin Koshiya3 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. Center for Integrated Research and Education of Natural Hazards, Shizuoka University, 3. Faculty of Science and Engineering, Iwate University)

1. はじめに
2022年3月18日23時25分頃にM JMA5.6の地震が発生し,最大震度5強を観測した.防災科学技術研究所(防災科研)では陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)を運用し、高感度地震観測網(Hi-net)や日本海溝海底地震津波観測網(S-net)等も含めて震源決定を行っている。本研究では、余震を含めた周辺の地震活動について三次元地震波速度構造を用いて再決定するとともに、地震波速度構造や重力異常、地磁気異常、反射法地震探査データなどと比較した。

2. データ・手法
防災科研MOWLASのうちのHi-netやS-netに加えて、気象庁、国立大学等のデータも含めて解析した三次元地震波速度構造や観測点補正値(Matsubara et al., 2019)を用いて2016年4月以降の約5年間の地震の震源を再決定した.

3. 結果と議論
Hi-netによるP波初動解および防災科研広帯域地震観測網(F-net)によるモーメントテンソル(MT)解はともに東北東-西南西圧縮、北北西-南南東伸長の横ずれ断層型を示す。2022年3月18日~4月3日の地震活動は西北西-東南東の節面に沿って発生しており、鉛直断面ではほぼ垂直に分布している。P波速度は北側の高速度域と南側の低速度域の境界で発生していることが分かる。
地磁気異常分布では、南西側の高磁気異常と北東側の低磁気異常の急勾配域と一致する。また、重力のブーゲ異常では、北東側の大重力と南西側の小重力の急変帯と一致する。この断層の東部延長では、石油資源探査から明らかにされている南側低下の地質断層が存在する(大澤・他, 2002)。これらのことから、2022年3月18日に発生した岩手県沖の地震(M JMA5.6)は、地質時代に形成された断層が再活動したものと判断される。

Matsubara et al. (2019) Seismic velocity structure in and around the Japanese Island src derived from seismic tomography including NIED MOWLAS Hi-net and S-net data, Seismic Waves - Probing Earth System, IntechOpen, 1-19, https://doi.org/10.5772/intechopen.86936

大澤正博・中西敏・棚橋学・小田浩, 三陸~日高沖前弧堆積盆の地質構造・構造発達史とガス鉱床ポテンシャル, 石油技術協会誌, 67, 38-51

産業技術総合研究所地質調査総合センター, 2005, 日本空中磁気データベース, 数値地質図 P-6.

産業技術総合研究所地質調査総合センター, 2013, 重力データベース, 数値地質図 P-2.