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[S09P-12] 紀伊半島南東沖における稠密海底地震計アレイを用いた2020年12月に開始した浅部スロー地震活動の観測
紀伊半島南東沖の南海トラフ近傍のプレート境界浅部において、2020年12月から2021年1月まで浅部スロー地震が発生した。F-netやDONETなどの定常観測網により微動や超低周波地震が観測され、震源域の移動現象などの活動様式に関する研究が進んでいる(例えば、Ogiso & Tamaribuchi 2022; Takemura et al., 2022)。本研究では、この浅部スロー地震活動の特徴を詳細に把握することを目的とし、稠密海底地震計アレイで観測されたスロー地震波形の特徴を調査した。 研究に用いた海底地震計アレイは、15台の固有周波数1Hzの3成分地震計から構成され、2019年9月20日から2021年6月1日の期間中、DONET1とDONET2の間に設置された。その中には、5台の地震計を観測点間隔約1㎞で配置した十字型アレイが2セット含まれている。2020年12月1日から2021年1 月31日までの2ヶ月間について上下動成分の観測データを、超低周波地震 のシグナルが見られる0.05-0.10 Hz及び0.10-0.15 Hz(Tonegawa et al.,2020)の2つの低周波数帯と、微動のシグナルが顕著に見られる2-8 Hzの高周波数帯でプロットし、比較した。まずは、エピソードのうち活動域の拡大時期に相当する2020年12月12日について着目し、浅部スロー地震波形を周波数帯毎に比較した。 その結果、波形の高周波数帯に約120個の微動シグナルが確認された。また、そのうち2割ほど0.10-0.15 Hz帯のシグナルが同期しており、さらにその半分が0.05-0.10 Hz帯のシグナルも同期していることを確認した。 これらの時間的同期は、微動と超低周波地震が2020年12月12日のエピソード中に同期して発生したことを示唆し、海底地震計アレイにより広い帯域でスロー地震現象を確認できた。